27年度は草稿の不備を補うための研究をおこなった。 研究会は8月8日(土)、10月24日(土)、11月28日(土)の3回行った。8月は品詞論、10月は統語について原稿を検討し、それぞれ草稿の検討にあてた。11月は全体の章立てと節の分割について意見を交わし、ドイツ式に細かく分けてナンバリングで体系化するか、フランス式にセクションを羅列するかで、意見が分かれ、調査検討の結果ナンバリング方式が体系化の面で優れているという結論となった。 例文については、解釈が十分でない箇所が見つかり、韓国人研究者に尋ねても納得の行く回答が得られず、休暇を利用し、韓国で現地での調査をおこなった。ソウルを中心とした首都圏の事実を描写した例文の解釈に問題は見つからなかったものの、例文の中には農業、林業、漁業のいわゆる第一次産業に従事する人たちの生活を描写した文があり、これらに解釈に不十分な点が少なからず見つかった。一例だけ挙げると、黄海沿岸では魚を捕るときの魚の呼称は方言で言い、市場に売るときは標準語に言い換える習慣があり、その習慣を知ることで文の解釈が変わった。これらの例文は、ほぼ訂正、削除、交換を終えた。 文法現象や形態の説明の基本は定まっているが、説明の用語に難解なものが使われているため、利用者として想定している大学2,3年生には、言語学を学んだ者でないと理解できないと思われる箇所が見つかった。これらについては、奉職中の大学での2,3年生の講義に試用し、学生に意見を聞きながら、修正しており、春学期中に試用を終えるつもりである。これらの修正が終わり次第、今回の研究で開発した文法を公表し、研究の目的を達成する。
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