研究課題/領域番号 |
25370679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
奥山 慶洋 茨城工業高等専門学校, 人文科学科, 准教授 (90369934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ESP / 英語専門語彙 / 高専 / 教材 / 教育工学 |
研究概要 |
海外先進校視察 平成25年9月上旬にニュージーランドのビクトリア大学およびワイアリキ工科大学への視察を実施した。ビクトリア大学では、語彙習得研究の第一人者であるPaul Nation名誉教授とAcademic Word Listを公開し世界的に有名であるAveril Coxhead教授にお会いし、研究に関する多くのアドバイスをいただいた。Nation教授からは、コロケーションの一般的な意味と専門的な意味での違いを明確化すること、どのような語彙を調査対象として選択するか、学習者のレベルの違いがコロケーション使用にどう影響するか等の問題をより詳細に検討すべきとの指摘をいただいた。Coxhead教授からは、扱うトピックが広すぎるため、もう少し分野を限定して調査を進めるべきであるとの指摘を受けた。ワイアリキ工科大学では、国際交流センターのNoeline先生に、英語非母語話者である学習者が英語を通じて専門知識を学べる英語力を養成するカリキュラム開発について教示いただいた。現地には、勤務校の卒業生でコンピュータコースを受講している学生の体験なども聞くことができ、有益な訪問となった。 英語語彙習得関係国際研究大会参加 平成25年12月に開催されたVocab@Vicにおいて情報収集を行った。特に、ESP語彙習得研究におけるコーパスデザインの手法や最新情報を得ることができたことは、今後の研究を進めていくうえでとても貴重なものとなった。 専門語彙の調査 本校でシラバスとともに配布されている専門用語リストや、その他、以前の研究で調査した専門科目入門の教科書で扱われている語彙などを再分析することなどを当初の目的として進めていた。しかしながら、調査を進めていくにつれ、これらの語彙がどのような場面で使われ、またどのような文法項目とともに学ぶべきかという新たな疑問にぶつかり、調査は一時中断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
夏季の海外先進校視察は当初の予定通り実施し、十分に情報収集を行うことができた。しかし、平成25年度中に専門語彙の提供時期について検討する予定であったが、その過程で新たな問題点が出てきたためその解決を優先し、進捗が遅れている状況である。具体的には、専門的な英文(英語論文など)の文法的な特徴(特に動詞の使用について)を検討する必要性が出てきた。日本人英語学習者にとって、動詞の使用については、例えば受動態と能動態の使用、時制や相など多くの困難項目があり、それらの解決なくして専門語彙の習得は考えにくい。また、文法と語彙力は相互に依存しており、文法能力を高めることは語彙力を高める補助になると思われるため、まずは、その特徴について自作のミニコーパスを基に調査を進めているところである。なお、平成25年9月のピクリリア大学訪問の際にCoxhead教授が主査である日本人博士課程学生を紹介していただき、その議論の中で、コーパス研究の視点として、レベル分け(日本人の大学生など(研究の初級者)-日本人研究者(大学教員や研究機関の研究者)-英語を母語とする外国人研究者)をすることの重要性を指摘され、現在の研究でもそれを反映した形で継続している。以上のような理由から、現時点では、学会等での口頭発表や論文としてまとめる作業は行っておらず、次年度以降に随時中間報告として口頭発表や論文としてまとめていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度でも述べたように、まずは工学系専門分野論文における動詞の使用について、その特徴(受動態の使用)を明らかにすることをまずは優先し、それが明らかになった時点で、専門語彙との関係性を見ていき、専門語彙習得の支援方法を検討したい。この点については、今年度8月に開催される外国語教育メディア学会の全国大会での口頭発表(概要を事前に送りすでに採択を受けており、現在は予稿の執筆中である)を予定している。アプリケーションの基礎研究については、本校卒業生で卒業研究指導をした学生の中に、eラーニング関係の職に就いたものがいるため、専門家としての立場からアドバイスをしてもらい開発の際の補助も依頼し内諾を得ている状況である。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費は、ほぼ予定通りの支出である。物品費については、ソフトウェアのバージョンアップや、ドキュメントスキャナが以前の補助で購入したものが現時点で十分に使用可能のため買い替えなどをしていないなどの理由により支出していないことが残額の原因である。人件費は、コンテンツ作成のアドバイスを専門家に依頼する予定であったが、研究が遅れているため、まだ実施していないことが原因である。その他の支出も、研究の遅れにより、成果投稿ができておらず、その支出をしていないためである。 旅費は、8月実施の外国語教育メディア学会全国大会(福岡大学にて開催)に参加する費用として使用予定である。物品費は、マークシート読み取りソフトのバージョンアップ費用、eラーニングコンテンツ配信用サーバーPCの購入を予定している。人件費は、引き続き、データ処理のために短期雇用する学生アルバイト代や専門家のアドバイスをいただくための車金としての支出を予定している。その他は、学会参加費や論文投稿・印刷費用としての支出を予定している。
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