研究課題/領域番号 |
25370680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
堀 智子 東京工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00269789)
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研究分担者 |
野口 ジュディー津多江 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (30351787)
小嶋 徹也 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20293136)
吉本 定伸 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00321406)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | データ収集と分析 / ソフト開発基礎研究 |
研究概要 |
本研究の目的は、英語プレゼンテーションに特化した音声学習ソフトウェアの開発と検証を4年計画で実施することである。1年目は英語母語話者のプレゼンテーション時の音声特徴を抽出するため、英語母語話者の音声録音とその音声データにおけるポーズやピッチなどの測定、及び分析を行った。同時に音声の自動認識ソフト開発のための基礎研究を行った。 (1)英語プレゼンテーション時の音声特徴を抽出するための手法や分析項目を確認するため、パイロットスタディを実施した。7名の英語母語話者の録音音声と合成音声ソフトの音声について、長さ、ピッチ、インテンシティについて比較分析を行った。その結果、合成音声と英語母語話者の音声上の顕著な違いは、英語にリズムにあることが示唆された。英語母語話者の音声では、強弱リズムをつける際に長さ、ピッチ、インテンシティが同期して変動することで発話にメリハリをつけているが、合成音声の長さはネイティブと似た動きをする一方でピッチとインテンシティはそれに同期しない面が目立った。また、A and Bのように2つの項目をandでつないで発音する際に英語母語話者は、最初の項目を、合成音声は後の項目のピッチを高くする違いなども観察できた。 (2)音声の自動認識ソフトの開発に向けた基礎研究として、今年度は音声データを自動で音節にわけるのではなく、音節の核となる母音をもとに区切る手法を試行した。音声データから母音のフォルマントをケプストラム法に抽出できるようになり、その抽出したフォルマント情報から母音の認識するプログラムを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初の計画に沿って英語プレゼンテーション時の音声データの収集と分析、音声自動認識ソフトウェアの開発を進めた。英語母語話者の音声データ収集にあたり、録音条件や言語材料、分析方法を検討するためのパイロットスタディをまず実施し、本研究の目的により適した録音条件や分析方法について検討することができた。その結果、研究目的の達成には、当初予定した海外での音声データ収集よりも、国内で実施する方がより効果的にできることが明らかになっため計画を変更をした。このように、このパイロットスタディの実施により本研究を成功させる上で重要な示唆をえることができた。また、音声自動認識ソフトの開発に向け、その手法についてさまざまな試行をおこない、その課題を洗い出し、今後の研究の方向性を明確にすることができた。また、今年度の研究成果を、電子情報通信学会、教育システム情報学会、The International Symposium on Innovation Teaching & Research in ESPで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず英語プレゼンテーション時の音声特徴を明確にするため、今年度実施したパイロットスタディの結果に基づき、録音に用いる言語材料を精査し、音声データの数と種類を増やしてその音声特徴の抽出を行う予定である。また、その結果抽出した音声特徴から効果的な英語発音指導ポイントについても検討を行う。 音声自動認識ソフト開発については、日本語ですでに開発されているソフトなどの機能などの先行研究の調査を充実させ、より効果的なプログラム開発を目指して研究を続けていく予定である。同時に、発音学習支援ソフト開発に向け、取り入れる機能やインターフェイスに関する検討も開始していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、今年度中に米国で英語母語話者(30~40名分)による同一テキストの音読時とプレゼンテーション時の音声を収録する計画で、海外の大学関係者と準備を進め、そのための費用を今年度分に計上していた。しかし、パイロットスタディを実施しデータを分析した結果を踏まえて録音条件や録音材料を見直す中で、国内で英語母語話者を集め、時間をかけて打ち合わせをしたうえで録音する方が研究目的に沿ったデータ収集が可能なことがわかった。このため、音声データ収集にかかる費用を次年度にまわし、国内で実施することにした。 今年度使用しなかった費用は、国内で実施する英語母語話者の音声録音とその音声データ分析に使用する予定である。
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