研究課題/領域番号 |
25370687
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大場 浩正 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (10265069)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 協同学習 / 英語スピーキング / 英語ライティング / ピア・フィードバック / 相互行為 / 談話 / 建設的相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本人学習者が協同学習による他者との相互作用を通して英語のスピーキングとライティング能力を向上させ、新たに獲得した語や文法を実際に使用できるようになる過程において、ピア・フィードバックにおけるどのような相互行為が学習と結びついていくのかを明らかにすることである。 2015年度は,英語プロセス・ライティング活動において気づいたこと等(書けなかった英語表現や文法の誤り等)に対して行ったピア・フィードバック時の相互行為を書き起こし(プロトコル作成),質的に分析した。分析は,(1)英語熟達度の視点からのグループ内談話,および(2)協同的(あるいは排他的)相互作用(人間関係や役割)と建設的相互作用(自他の認知的活動)を用いたグループ内談話において行われた。結果として,特に,協同学習グループにおいては,伝統的学習グループよりも建設的相互作用がより多く観察された。これらの成果は,中部地区英語教育学会(2015年6月,和歌山大学),全国英語教育学会(2015年8月,熊本学園大学)および国際協同教育学会(2015年10月,University College Lillebaelt,デンマーク)において口頭発表した。 また,本研究の成果に基づく実際の指導方法や教材について小学校・中学校・高等学校の教員を対象とした校内外の研修会,公開講座およびワークショップ等において積極的に紹介し,体験をしてもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,ピア・フィードバック時の相互行為を書き起こし(プロトコル作成)と質的分析は,2015年度までにライティングとスピーキングの両方において終える予定であったが,ライティングにおいてもスピーキングにおいても,すべての相互作用データを分析するまでには至っておらず,一部のデータの質的分析が遅れている。また,英語スピーキング流暢性(発話数など)・正確性(誤りのないAS-unitの割合)・複雑性(語彙的・統語的)の伸長に関する分析結果を学会発表することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)学習者(33名)の英語スピーキングにおける流暢性(発話数など)・正確性(誤りのないAS-unitの割合)・複雑性(語彙的・統語的)の伸長に関する分析の最終チェック(協同学習グループと伝統的学習グループの比較分析や統計的処理等)と考察を行った成果をまだ学会で発表していないので,発表する。(2)ライティングとスピーキングの両方における相互作用データの分析をすべて行う。さらに、その分析結果に基づき、後の新たなスピーキング活動におけるパフォーマンスの分析を行い、学びの質が深まったかを考察する(協同学習グループと伝統的学習グループの比較を行う)。(3)英語スピーキング能力(流暢性・正確性・複雑性)の伸長と英語ライティング能力(生産性・正確性・複雑性)の伸長に関するデータ分析結果、及び英語スピーキング活動と英語ライティング活動に対するピア・フィードバックにおける相互行為の質的分析結果を比較し、同じアウトプットであるスピーキングとライティングの学習過程に働いているメカニズムの類似点と相違点の分析を行う。(4)これらの成果を論文化し,最終的なまとめと課題の提示を行う。
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