研究課題/領域番号 |
25370688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
木村 裕三 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (80304559)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 第二言語習得の代替的アプローチ / 第二言語学習の動機づけ / 複雑系理論 / 活動理論 |
研究概要 |
今年度は日本の研究サイトを拠点とした研究を展開した。具体的には、富山国際大学付属高等学校のワン・ローレンス先生の1-1組国際英語コースの実践を1年間参与観察し、以下の手順でエスノグラフィーの手法に基づいた質的データ収集とその解釈を行った。 ①授業参与観察の実施:平成25年度の授業参与観察は5/28(火)から開始し、以下6/6(木)、6/13(木)、6/18(火)、6/20(木)、6/25(火)、6/27(木)と実施し、7/6(土)に生徒4名に第1回目のインタビューを実施した。ローレンス教諭に対する第1回目のインタビューを7/18(木)に実施した(ここまで1学期のデータ)。2学期のデータ収集は9/11(水)から開始し、その後9/18(水)、9/24(火)、10/3(木)、10/29(火)、11/7(木)、11/13(水)、12/10(火)と実施し、9/30(月)に第2回目、11/05, 07に第3回目、12/19(木)に第4回目のインタビューを4名の生徒に対して実施した。また、ローレンス教諭に対して1/7(火)に第2回目のインタビューを実施した(以上2学期データ収集)。3学期のデータ収集は1/28(火)に開始し、2/13(木)、2/14(金)、2/21(金)と実施し、4名の生徒に対する第5回目のインタビューを2/21(金)に、更に6回目のインタビューを3/14(金)に実施した。ローレンス教諭に対しては、最終となった第3回目のインタビューを3/12(水)に実施した。 ②データの集約とその解釈:エスノグラフィックな質的データの取扱い原則に従って、収集したデータは時間をおかずに迅速にNVivo 10(質的データ分析ツール)に取り込み、文字起こしを経てノードを形成し、第二言語習得の代替的アプローチに基づく理論に従って解釈を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は日本国内の富山国際大学附属高校のデータ収集を主な目的として実施する計画であり、ほぼ当初の予定どおりかそれ以上の成果が収められたと感じている。その理由として、まず、質的データ分析ツールのNVivo 10の使用に関する進展が見られた点が挙げられる。これは、偶然ながら、オーストラリア本社からインストラクターが来日し、東京で個人ベースの講義があり、この講義に参加したことによって、製造元のQSRと私との間で、日本地区インストラクターへの参画の機会が与えられ、この機会によって本ツールの使用において格段の進歩があった。次に、前の科研費による同種の手法の反省点を活かし、質的データ収集とその分析を時系列で進めていけた点が挙げられる。時間をあまりおかずにそのつどデータを分析、解釈することによって、新たな解釈が生まれるという、データ解釈の重層性が生まれ、結果により説得力がつくことが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方向性として次の3点を挙げる。まず、今年度の日本の研究サイトである富山国際大学付属高校の2-1組国際英語コースにおけるローレンス教諭の英語授業実践と、昨年度と同一の4名の生徒の英語学習の様子を参与観察を継続し、データを収集するとともに、長期的な観点から、複数の第二言語習得代替的理論によって英語学習への動機づけを読み解く。 第二に、来年度より北京、中央民族大学附属中学における同様の参与観察を開始する。こちらは、これまで馬莉教諭の実践をその研究対象としてきたが、来年度を以ってこれまで継続観察してきた4名の生徒が6月で卒業となり、9月からまた新たな教員と生徒を対象とした参与観察を計画する。 最後に、想定外のことではあるが、質的データ分析ソフトNVivo10の日本地区インストラクターの機会が与えられたので、ぜひとも今回のこの科研費による研究を基にしてソフトの活用に精通する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は当初から日本サイト(富山国際大学付属高等学校)における参与観察を推進する予定であり、中国、韓国の研究サイトを訪問する際の旅費や、中国語、韓国語への通訳・翻訳料は当初から計上しておらず、もっぱら陳腐化した機器の更新に予算を当てていた。しかし、その機器がまだ運用に耐えたため、更新時期を遅らせることができたことが次年度使用額を残した最大の理由である。 来年度は、ビデオカメラを1台、昨年の予定より1年遅れて更新するため、当初の予定どおり予算を消化する。また、北京の研究サイトでの参与観察が開始され、その際のインタビューの通訳、データの翻訳に予定通りの予算を計上しているため、計画どおり予算を執行する予定である。
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