研究課題/領域番号 |
25370688
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
木村 裕三 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (80304559)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 複雑系理論 / 活動理論 / 外国語教育・学習動機づけ / 質的データ分析 / NVivo 10 |
研究実績の概要 |
本年度は日本サイトの参与観察研究を継続することと、北京サイトの新たな研究協力者を確保して、前年度までの協力者に代わる北京市内高等学校の先生との関係を構築し、北京での研究を継続・展開することが主眼であった。以下が本年度の概要である。 1)日本サイトの富山国際大付属高等学校のローレンス・ワン先生のPBL授業を継続して今年度観察し、データを収集することが出来た。フォーカスグループの3名の生徒について、英語授業のログを継続的に書いてもらうという新たな手法によって、データに一貫性が生まれ、より説得力のある研究へと進展した。 2)当初予定にはなかった、NVivo10(質的データ分析ソフト)の活用方法に大きな進展が見られた。発売元のQSR Internationalでの講習を受講した結果、質的データの分析に飛躍的な前進を見ることができた。これは今後の研究を左右する大きな成果となった。 3)北京の中央民族大学付属中学で、これまで前面的に協力いただいた馬莉先生が退職となり、引き続き新たに徐淑香先生が協力者として授業を提供いただけることとなった。10月の新1年生の授業では、徐先生の授業を基に、これまで通りのインタビューデータを収集することができ、来年度日本サイトでの参与観察研究と同時並行してデータを収集・分析する予定である。 4)日本サイトの平成25年度から平成26年度までのデータをまとめ、1つは中間報告として、さらにもう1つは2年間のまとめとして、2つの国際学会で発表することができた。ことに2つめのアメリカ応用言語学会トロント大会では、これまでの発表の中でも高い分析が出来、完成度も満足の行く内容であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ順調に進展している。日本サイトでは当初の計画以上に順調に推移した。ことに予想外の進展が見られたのは、NVivo 10の使用方法について、発売元のQSR Internationalから公認インストラクターの資格を得られ、極めて高い質の分析方法を身に付けることができた点が挙げられる。また、北京サイトである中央民族大学付属中学において、馬先生に代わる研究協力者の存在があったことと、当中学校長 田 先生により、本研究が一研究者と一教師だけの個人的関係から、教育機関同士の関係へと格上げされた点も本研究遂行の上で大きな追い風となった。
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今後の研究の推進方策 |
1)日本サイトにおける継続的参与観察研究の遂行:3年目に入る富山国際大学付属高校での参与観察研究を継続し、フォーカス・グループの3名の生徒の動機づけがどのように変遷するのかを、分析対象とする英語担当教師の授業を複数への増やし、分析を縦(時系列)と横(授業担当者による英語授業の種類)へと拡大する。
2)北京サイトでの新しい研究協力者の授業参与観察を継続し、フォーカス・グループの生徒へのインタビューと研究協力者の英語教師へのインタビューを継続する。
3)韓国水原サイトでの高校の参与観察を始める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予想していた金額よりもまず物品費が大きく抑えることが出来た。これは、今年度に応募した別の競争主義的研究経費(受託金)が選定され、その金額を活用することによって、本科研費の物品費支出が抑制されたことに起因する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は海外サイトでの参与観察が2つに増加するため、旅費支出が増加することが見込まれる。また、今年度予想以上に進展した分析方法を援用し、成果報告のための学会発表も増やす予定であることから、次年度使用金額は旅費として十分に有効活用できる見通しである。
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