研究実績の概要 |
本研究では、英語の授業者と学習者の動機づけを、第二言語習得(以下SLAと表記)理論の代替的アプローチである、活動理論(Activity Theory, 以下ATと表記)と複雑系理論(Complex Dynamic Systems Theory, 以下 CDSTと表記)によって分析し、その解釈にどのような差異が現れるのかを、東アジア、具体的には日本(富山市)、中国(北京市)、韓国(城南市)にある後期中等教育機関(日本の高等学校)の英語授業現場をフィールドとして比較・検証した。以下が主な研究成果である。 (1)日本のフィールドについて、一人の授業者のPBL(Project-based learning)準拠の2年間の授業実践(高1~高2期間)をATとCDSTによって解釈し、その差異を国際学会で発表した。 (2)同じく日本のフィールドについて、別の授業者の大学進学指導を主体とした授業実践(高3期間)をCDSTによって解釈し、その実績を現在図書の1章分として執筆中である。 (3)中国のフィールドについて、2名の学習者を3年間参与観察し、異なる授業者の英語授業を受ける中で、自身らの英語授業への動機づけがどのように変遷していったのかについて、CDSTとATによって解釈した。その成果を平成29年6月の韓国英語教育学会で発表予定である。 (4)韓国のフィールドについて、前回の基盤研究(C)の研究に参加していただいた同一の授業者の授業を新しい赴任先の高校で参与観察を行うことが出来た。その結果、赴任前の高校での実践と赴任後の高校での実践についてCDSTにより比較・分析することが出来た。その成果を(2)の成果とともに現在(2)と同一の図書の1章として執筆中である。
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