研究課題/領域番号 |
25370697
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
千葉 克裕 文教大学, 国際学部, 准教授 (50352547)
|
研究分担者 |
横山 悟 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20451627)
吉本 啓 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50282017)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 第2言語習得 / MEG / 語彙処理 / 信号源解析 |
研究概要 |
科研基盤研究C課題番号2252065では、課題の反応時間に加えて、50ms-150ms、100ms-300ms、300ms-500msのタイムウィンドウで信号強度と習熟度テストMETの得点との相関を分析し、語彙判断課題・意味判断課題のそれぞれで、初級学習者が上級学習者より多くのエネルギーを使用して、しかも刺激提示からかなり早い時間帯で第2言語語彙処理を行っていることを明らかにした。しかしながら、MEGの信号源解析を行い、習熟度と賦活部位の関係を解明するには至らなかった。本年は、この信号源解析の方法を探った。言語処理の信号源解析に関する先行研究で使用されるBESAなど非常に高額なソフトを使用することができないため、本研究ではMATLABとSPM8の組み合わせなど汎用性が高くかつ容易に入手可能なソフトでの信号源解析手順の確立に取り組んだ。具体的には、(1)解析ソフト、FieldTripを使用してのICAによる眼球ノイズの除去方法を模索した。(2)BrainStormによる信号源解析のためのデータ処理方法について研究した。 また、最大の研究課題である第2言語語彙処理における母語使用プロセスを解明するための翻訳課題実験のデザイン構築に取り組んだ。先行研究では、反応時間による翻訳プロセスのモデルが存在するのみであり、神経言語学的にそれを証明する実験デザインはまだ組み立てられていない。そのため、EEGやfMRIなどを使用した関連する先行研究を更に精査し、脳機能画像法を用いた研究としての実験ロジック、デザインの構築を目指す必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MEGを使用する研究は医療分野が中心であり、第2言語処理研究への応用は黎明期にあって、当該テーマの先行研究はLeonard (2011)など数例しかない。機器と解析ソフトも開発途上である。そのため、データの切り出し方法の改善や信号ノイズの除去方法など、データ処理にまつわる困難を1つ1つ克服しながら進める必要があった。 第2言語習得理論と神経言語学の融合を図るために、広範囲な先行研究のレビューが必要となったことと、上述した当該テーマの先行研究がないことが、大きな課題となり進行の遅れを招いた。 第1言語の介在を証明するための翻訳課題実験のデザインが確立できないこともマイナスの要因である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)今年度は、これまでに得られたデータを用いて信号源解析の方法を確立する。具体的にはBrainstormによる解析を試し、これまでの実験デザインによるデータで賦活部位の特定が可能かどうかの検証を行う。 (2)刺激語提示と同時に翻訳処理を行わせる実験ロジックを確立する。現段階では、訳語提示後の正誤判断でしかなく、脳内想起した訳語と刺激語のマッチングしか観察出来ていない。この問題を解決することで、第2言語語彙処理において初級学習者が母語を介して意味理解を行っているという仮説を証明できる。 (3)翻訳課題による予備実験を行い、信号源解析の結果も含めて、今後の実験デザイン構築の検討材料とする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究の遅れにより、予定していた実験が出来ず、刺激提示用PC、被験者への謝金、実験経費などの支払いが不要となったため。 今年度は信号源解析用有料ソフトも含め、データ処理に関係する機器、ソフトウェアの購入を計画している。また、予備実験の実施に伴う実験経費、被験者謝金等の支払いが生ずる予定である。
|