研究課題/領域番号 |
25370698
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
深澤 清治 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00144791)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 語用論能力 / 発話行為 / 海外留学 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本人英語学習者が英語使用において苦手とする「不平」などの発話行為においてその概念を正しく理解し、表現できるようになるための語用論能力の育成をめざす映像教材を開発することである。 平成26年度においては,前年度の成果をもとに,日本人英語学習者が海外留学において遭遇する場面の中で、特に反応が難しいと思われる発話行為のうち「不平」(complaint)を取り上げて、その場面での問題解決を図る能力を育成するための映像教材作成を次のように行った。 1)教材のためのスクリプト作成:日本人学習者が海外留学場面で経験した当該発話行為場面を、海外留学場面というアカデミック場面に限定して、対話相手との社会的地位差の有無(地位差ありと地位差なし)から2場面に分類し、さらに対話相手との人間関係の親疎(親しい間柄・あまり親しくない間柄)を2場面に分類し、合計4つの場面のスクリプトを作成した。さらに、2名の英語母語話者によって、文法的正確さ・社会文化的適切さの観点からチェックを受けて、最終的な教材用スクリプトを完成した。 2)映像教材の作成:作成したスクリプトをもとに、国内のある大学キャンパスにおいて、教員研究室、およびPCルームを借用し、教師X学生、学生X学生による対話をビデオに録画した。配役として、海外生活経験の長いバイリンガル帰国子女学生を雇用し、なるべく自然に演じたものを映像化した。そのあと、ビデオ撮影者も兼ねた映像技術の専門者に教材編集を依頼し完成に至った。 次年度においては,開発教材を日本国内の複数の大学で留学前教育に於いて利用し、本教材の実用性、適切性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画においては,平成26年度の研究目的は,「不平を述べる」という発話行為に際して必要となる語用論知識の習得を促進する映像教材を開発することであった。何度となく教材スクリプトの修正を行い、映像技術及びコンピュータの専門家の協力を得て4場面のビデオ教材を開発し、ウェブ上(グーグル)にアップロードをすることができた。また、教材開発に至るまでの研究から、タイ人および日本人英語学習者の「不平」という発話行為の特徴について、11月下旬に全国語学教育学会において研究発表を行うことができた。 以上のことから,当初の計画通り,本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度(第3年次)においては,前年度に完成した教材を使用し、その実用性、適切性、使用効果を検証する。研究実施計画は、ほぼ当初計画のとおり、次の3つから構成される。 1)教材の評価:日本人英語学習者と英語母語話者による教材評価・検証:学習者および英語教師に本開発教材を試用してもらった上で、語用論学習用教材としての適切性、実用性、妥当性、効果などを検証する。また、英語教師からは指導マニュアルに対するフィードバックを得る。 2)学習効果の測定:日本人英語学習者に教材使用後にテストを実施し、テストの事前・事後における語用論知識の獲得について学習効果を検証する。 3)学会発表:学会において研究成果を発表し、情報発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に作成した教材の場面を限定したこと、および教材作成費が当初見積りよりも安価に納まったこと、また、学会での発表が国内であったため,国際学会での成果公表のための予算執行を一部見送ったことにより繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
開発教材について、国内の大学でフィールドテストを実施すること、また教材使用マニュアル作成のための費用として使用する。
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