研究課題/領域番号 |
25370700
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
須藤 路子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60226587)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 年齢要因 / 日本人学習者 / 生成パターン / 聴解力 / 読解力 / 帰国生 / 臨界期仮説 |
研究実績の概要 |
本年度の研究の目的は、米国在住経験と年齢要因が、日本人学習者の英語習熟度に与える影響を検討することであった。被験者として、3グループ(日本人学習者2グループと米語母語話者1グループ)を用意した。日本人学習者は、米国在住経験のある帰国生と在住経験のない一般大学生の2グループを用意した。公式TOEICテストのスコアにより、英語聴解力と読解力を測定した。英語の生成パターンに関し、Interstress Intervalsとストレスを担う母音のcompensatory shorteningの観点から分析した。TOEICスコアにおいて英語能力に有意差が観測された一般大学生と帰国生に関し、生成パターンにおいても有意差が観測された。年齢要因の中で、米国在住開始年齢はTOEICスコアにより測定される聴解力に著しい影響を与えている要因であることが示された。また、帰国生に関し、臨界期仮説に関わる年齢要因は、ISIとストレスを担う母音の持続時間制御に異なる影響を与えることが示唆された。 来年度の研究の予備実験として、日本人学習者において、ストレスを担う母音よりも習得が遅いとされる弱母音の音質を検討した。具体的には、海外在住経験がなく、習得段階の異なる日本人大学生被験者グループを用意し、母語話者の母音の音質への到達度を観測した。さらに、母音生成とTOEICにより測定される英語能力との関係を分析した。初級学習者は母語話者に比べ、分析対象の弱母音の調音位置が低いことが観察された。上級学習者においては、語末に比べ語中の弱母音のF1, F2値の分散は小さく、単語内の位置の影響が観察された。上級学習者は、ストレスを担う母音のcompensatory shorteningの習得到達度は高かったが[2]、弱母音の生成はより困難であることが本研究で示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験も予定通りに実施できた。分析方法も昨年度の実験により検討されているので、研究は問題なく進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画通りに平成28年度の研究を開始する。生成パターンの観点から、上級学習者をグループ分けする。新しい要素として、弱母音の音質を分析対象に取り上げる。同時に日本人被験者3グループすべてにつき、被験者を増やし分析を進める。
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