研究課題/領域番号 |
25370701
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
新田 晴彦 専修大学, 商学部, 兼任講師 (80424323)
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研究分担者 |
WALTER K.Klinger 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (10275183)
岡崎 弘信 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (80405084)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 航空英語 / 操縦士 / 管制官 / リスニングエラー |
研究実績の概要 |
航空管制の通話において、英語の母語話者を通話相手とする時、日本人管制官と操縦士のリスニング精度が低下する。我々はその原因を探っているが、音のdecoding skillに原因があると推測させるに充分な現象が多々存在する。そこで我々はdecoding skillの実態を調査するために現役(退役でも可とする)操縦士や管制官を被験者にしてリスニング実験を試みている。総数で30名の被験者を予定していたが、実験参加を承諾してくれる被験者が思ったようには集まらず前年度は20名にとどまってしまった。本年度はさらに募集を拡大し13名の被験者を追加することができ予定していた被験者数を満たすことができた。全被験者に対する実験もすべて無事に終了している。 本年度は、こうして得た実験データを分析するコンピュータープログラムを作成した。8種類の実験を行っており、それぞれに対応したプログラムが必要であるため作成したプログラムも8種類に及んでいる。このプログラムにより日本人操縦士や管制官のdecodingの問題箇所を視覚的に示すことができ、今後の分析作業に活用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リスニング実験は被験者ひとりにつき8種類行った。33人の被験者では合計264種類となる。実験結果のデータはすべて音の位置データとして記録されている。解析をするには、このデータを用いるわけであるが、非常に扱いにくく手間が掛かりすぎることが判明した。そこで実験の結果を全体的にかつ視覚的に表示させるコンピュータープログラムの開発を決めた。この開発は当初の予定にはなく、開発に要した時間だけ計画がずれることとなった。プログラムの数は8種類。かつ位置データを入力する作業が必要となり、入力作業用のプログラム開発と合わせて、結局約3ヶ月~4ヶ月程度の遅れが生じている。 計画外のプログラム開発を決定したことで予定がずれ込むことは分かっていたので、作成するプログラムに優先順位を設け、より重要度の高い実験プログラムから作成を開始した。出来上がった順から解析に回すためである。ノウハウがないため一つ目のプログラム完成までには時間を要したが、2つ目以降からは開発速度が上がっている。現在ではすべてのプログラムは完成しており、解析を行っている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
予定外のコンピュータープログラム開発を行ったため解析の開始時期が若干遅くなったが、実験データを視覚的に表示するプログラムのお陰で分析対象を絞り込むことが容易になった。解析時間を短縮することができ、開始の遅れは取り戻せるであろう。このプログラムを活用して昨年度末から進めてきたリスニングエラーの解析を本年度も引き続き行っていく。 リスニングエラーは発音の多様性にも影響を受けていると考えられ、実験結果から明らかになったリスニングの問題箇所の発音多様性も探っていく。 中間報告として米国にて学会発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年に米国にて開催される学会に参加予定であった。しかしこの学会の開催が2015年に変更となったために、2014年度に予定していた旅費が未使用となった。また予定外のコンピュータープログラム開発を行ったため謝金が必要となった。これら予定外の事項の差額が次年度使用額とした残ったものである。
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次年度使用額の使用計画 |
米国における学会発表のための出張。および、学会出張を利用して航空管制のデータの収集も考えており、予算のほとんどはこれらの出張に費やす予定である。
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