研究課題/領域番号 |
25370702
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
廣森 友人 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (30448378)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 個人差 / 動機づけ / 動機づけ方略 / ダイナミックシステム理論 / 変化点 / スピーキング |
研究実績の概要 |
本研究課題の目標は,動機づけが変化・発達するシステムに関して,具体的な視点(モデル)を導き出すことである。そこでは動機づけの向上だけではなく,低下のプロセスも明らかにすることにより,動機づけの変化・発達をより全体的・立体的に捉えることを目指す。このような目標を達成するために,今年度(平成26年度)はよりミクロな視点に基づき,調査の計画・実施を行った。具体的には,4コマから6コマの漫画を見て英語で物語を作るというスピーキング課題を準備し,調査協力者には週5日間,約2週間にわたり,その課題を使ったスピーキング学習,ならびに課題の感想や次回の目標などをまとめるスピーキングジャーナルの作成を依頼した。課題のスピーチはすべてICレコーダーに録音,データを文字化したのち,「正確さ」,「流暢さ」,「複雑さ」に代表される複数の側面から,その評価を行った。また,毎回の課題後に記入されたジャーナルの内容から,動機づけの変化・発達を質的な側面から検討した。さらに,課題を実施する前後にプレテスト,ポストテストとして,認知的な要因(例:「面白そうな絵(課題)だと思った」「物語を自分で作るのは難しそうだと思った。」),情意的な要因(例:「初めて経験する課題だったので戸惑った」「物語を自分で作るのは難しそうだと思った」),言語的な要因(例:「適当な単語が思いつかなかった」「発音やイントネーションがうまくできなかった」)に関する計20項目からなる質問紙調査を行い,その変化についても併せて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書にある「研究の目的」,ならびに「研究の計画」を踏まえ,当該年度の研究については順調に遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(平成27年度)は,これまでに得られたデータの統合的な分析を踏まえ,動機づけの変化・発達プロセスと言語能力(今回の場合は,スピーキング力)との関連をより精緻に分析していく。従来,スピーキングパフォーマンスは単に英語力(単語力)の問題であり,言語習熟度が高ければできるし,低ければできないと一般的に考えられてきた。それに対して,本研究での調査結果からは,とりわけ即興で話すような場合には言語習熟度と同じように,不安感や自己効力感といった動機づけに関わる要因がパフォーマンスに影響を与えることを示唆する結果が得られている。今後は,スピーキングジャーナルの詳細な分析などを通じて,調査協力者のパフォーマンスに影響を与えた動機づけ要因の働きをより精緻に考察していくとともに,効果的な言語学習に向けた具体的な提案ができるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
スピーキングデータの収集に予想以上の時間を要し,年度内にアルバイトの方に依頼をしてデータの文字起こし等の作業依頼ができなかった。そのため,人件費として計上していた予算が支出できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
すでにデータの収集は終えているため,年度の初めよりアルバイトの方に依頼をして作業を開始できる。したがって,人件費の支出も可能になると考える。
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