本研究では,近年の第二言語学習に係る動機づけ研究の課題を指摘した上で,それを解決するための新しい枠組みとしてダイナミックシステム理論(DST)を挙げ,その枠組みに基づいて行われた2つの研究を紹介する。研究1では,中高大の合計8年間にわたる英語学習動機づけの変化パターンを検討する。研究2では,大学生の英語学習動機づけの発達的変化を記述するとともに,その変化を生じさせた要因の特定を試みる。本研究全体として,ダイナミックシステム理論の観点から,第二言語学習の動機づけ向上あるいは低下に影響を与える要因について検証する具体的手順を示すとともに,本理論の第二言語習得研究への適用可能性について検討する。
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