本研究の目的は、認知言語学の知見に基づき、日本語を母語とする英語学習者の英語の特徴を体系的に明らかにするとともに、効果的な指導法を考案するための基礎研究を、事態認知の違いという観点から行うことである。 研究最終年度である平成27年度は、事態把握の違いをどのように外国語教育に持ち込むかという観点から研究を行うべく、特に事態把握の違いが顕著に現れる英語のライティングを取り上げ研究を行った。学習者のライティング・データから、特に、二重目的語構文および受動文を取り上げ、事態把握の観点から構文解析を行った。その結果、日本語を母語とする英語学習者の産出する英語には、学習者の母語である日本語の事態把握の特徴である参照点構造に基づく表現が多く出現し、英語の産出においても学習者の母語の事態把握が有意に影響を与えていることが明らかとなった。 また、教育現場への応用の可能性を探るために、平成27年度に実施された教員免許状講習(西南学院大学)において、本研究課題の成果の一部を用いた。特に、英語と日本語の事態把握の違いへの気づきを導き出すような指導法について講習を行った。平成26年度同様、現場の教員からの満足度は大変高く、学校現場への活用可能性についても高い評価を得た。そのため、学校現場へ十分に応用可能であると結論づけた。 さらに、平成25年度に大学英語教育学会の研究部会として設立した「応用認知言語学研究会」を、7月および3月に開催し、応用認知言語学の普及につとめた。
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