研究課題/領域番号 |
25370718
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
RUCYNSKI John 岡山大学, その他部局等, 准教授 (10512741)
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研究分担者 |
難波 彩子 岡山大学, その他部局等, 准教授 (00638760)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ユーモア / 文化の異なり / 社会的相互行為 / 西洋と日本のユーモア / 学生のユーモアに対する感じ方 / 教師のユーモアに対する感じ方 |
研究実績の概要 |
平成26年度における本研究の主な目的は、1)英語の授業の中でのユーモアの役割に関するデータ収集を継続的に行うこと、2)国内外の学会でユーモアについての研究発表を引き続き行い、国内外のジャーナルに向けて研究成果を投稿し始めること、の2点である。 1) 語学クラスにおけるユーモアの役割についてのアンケート調査を、日本国内の大学機関を通して約900名の学生に対して行った。このアンケートに対する質的な分析を行うため、アンケートに回答した学生数名について、口頭インタビューを実施し、400分のデータを収集した。アンケートの結果については現在分析を行っているところである。特にアンケートの自由記述の箇所について、日本語から英語に翻訳している。また、インタビューの書き起こしについても、間もなくとりかかる予定である。 2)研究代表者は国際ユーモア学会(オランダ)をはじめとする3つの国際学会で語学授業におけるユーモアの応用について研究発表を行った。また、研究代表者と分担者はJALT国際大会のフォーラム(筑波コンベンションセンター、合計90分)に参加し、語学クラスにおけるユーモアをテーマに、それぞれの研究発表を行った。一方、研究分担者は、談話分析に基づいた枠組みを用いながら、海外留学を終えた学生のアイデンティティ構築にユーモアがどのように関わるかについて、国際社会言語学会(フィンランド)で研究発表を行った。さらに、研究代表者は編集者として、TESOL出版社より、語学授業におけるユーモアの使用についての本を出版することが決定しており、現在国内外約100名の研究者による実践報告書を編集している。研究分担者は、社会言語学及び談話分析の視点を取り入れ、どのように日本人家族の会話の中でユーモアが効果的に使用されているかについて研究論文をまとめた(日本認知言語学会第15回全国大会発表論文集、現在印刷中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、主に4つの研究活動を行った。 1) 研究代表者及び研究分担者は、ユーモアに関する国内外の学会発表を合計7回行っており、積極的に研究報告を行なった。 2) ユーモアに関する本の出版は当初3年目に手がけることを目標にしていたが、2年目の段階で出版が決定した。3) 本研究では、学習者である大学生のユーモアの感じ方と指導者の教師のユーモアの感じ方の両面を考慮している。前者の大学生については、900名を超える日本国内の大学に所属する大学生からのアンケート結果を得ることができた。また、アンケート調査に協力した数名の学生を対象にインタビューを実施し、400分に及ぶデータを収集することができた。一方、後者の教師については、現在研究代表者が編集者として、語学授業におけるユーモアについて、世界中の大学教師から実践例を収集し、本にまとめているところである。 上記4つの活動は滞り無く行われてきており、平成26年度の研究活動はおおむね順調に進んだと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究活動については、次の3つの研究推進方策を念頭に置いている。 1) 研究代表者は編集中のユーモアの本の出版(仮タイトル: “New ways in teaching with humor”)について、現在すべての執筆者より実践例を収集し、今後各セクションの編集とイントロダクションの執筆に従事することになる。今年度中の出版が予定されている。 2) 現在アンケートとインタビューの分析結果について論文を執筆している最中にあり、早期に国外の雑誌(Humor: International Jounral of Humor Research)に投稿する予定である。 3) 引き続き国内外の学会にて研究成果の発表を積極的に行う予定である。研究代表者はベルギーで開催される、タスクに基づく語学指導に関する国際学会(The International Conference on Task-Based Language Teaching、9月)とニュージーランドで開催される国際学会(the International Conference on Language, Education, and Diversity)にて、ユーモアに関する研究発表を行うことが決定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は主に以下の2点である。1) 研究分担者はユーモアに関する国際学会での発表を予定していたが、本務校の業務の為学会参加をキャンセルしなければならなかった。2) インタビューデータの収集が完了した後、書き起こし作業を業者に委託することを予定していたが、膨大な量のデータのため、データの整理を含めて翌年度に行うことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度における使用計画は以下の通りである。1) 研究代表者及び研究分担者が国内外の学会に参加するための出張費として使用する。2) データの書き起し作業として使用する。3) 研究に関連する書籍(DVDなども含める)に使用する。以上3点について、使用する予定である。
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