「どのような形の小中連携をめざすべきか」に関する具体的提案や、「それをどう実現し、その結果どうなったか」についての実践報告を行うために、小中連携ですでに成功しているS県のM中学校の「『ゆるやかな移行』と『適度な段差』という教育理念に基づく授業」を参考にしながら、F県F市の中学校教員と研究代表者による協働的アクション・リサーチを行った。 27年度(最終年度)は、中学校教員(5名)が中1入門期(4月~7月)の間、M中学校での中1入門期の英語授業実践にもとづく英語の授業を、それぞれの教育現場で行った。毎回の授業が終了した後、各自の気づきをジャーナルとして記録しておいた。また、中学校教員と調査代表者とで構成するメーリングリストでのメールのやり取り、そして中学校教員に対するインタビューの内容もデータとして取り扱うことにした。 このようにして得られたデータを総合的に分析した結果、「優れた実践の教育理念に基づいて、自身の教育実践の工夫を試みる教員」は、(1)できるだけ、その通りにやってみようとするタイプと、(2)あまりオリジナルにはこだわらず、自分なりにアレンジしてみようとするタイプと、大きく二つに分かれることが明らかになった。 サンプル数が少ないため一般化することは困難であり、二つに分かれる理由も未だ不明確ではあるが、Teacher Training 式の教師研修に対する現職教員の反応のタイプが明らかになった点は、本研究の成果として評価できると考えられる。
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