研究実績の概要 |
最終年にあたる平成28年度は81人の学生にTOEIC Speaking Testを受験してもらい、TOEIC Listening and Reading Testと比較してどのような意見・印象を持ったか調査票を用いて調べた。同様のアンケート調査は平成25~27年度の3年間も行っており、4年間で計313人分のデータを集めることができた。参加者は、概ねTOEIC Speaking Testに対して好意的な意見・印象を持っていることがアンケート結果で示された。 TOEIC Speaking Testの得点とTOEIC Listening and Reading Testの得点の間には0.53の相関があった。これは統計的に有意な数値ではあるが、決して高い数値ではなく、スピーキング力の指標としてはTOEIC Listening and Reading Testではなくスピーキングテストを使うべきである。 本研究では、さらにTOEIC Speaking Testの得点と語彙テスト(Vocabulary Levels Test)の得点、最少英語テスト(Minimal English Test: 英文の音声を聞いてスクリプト中の空欄を埋めていくディクテーションテスト、Maki, Wasada & Hashimoto, 2003)の得点、Willingness to Communicate (WTC: 話しをしたいという気持ち)のレベルとの関係を調べた。TOEIC Speaking TestとVocabulary Levels Testの間には0.58、最少英語テストとの間には0.53、WTCスコア(WTCのレベルを推測するためのアンケート調査の結果を数値化したもの)との間には0.39の相関があった。また、TOEIC Speaking Testの得点を目的変数、WTCスコア、TOEIC Listeningスコア、TOEIC Readingスコアを説明変数として行った重回帰分析を行った。WTCスコア、Readingスコア、Listeningスコアの標準化回帰係数はそれぞれ0.33、0.32、0.22であった。これはTOEIC Speaking Testの結果予想においてWTCスコア(=話したいという気持ちの強さ)がReadingスコアやListeningスコアよりも重要であることを意味する。
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