研究課題/領域番号 |
25370730
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小田 眞幸 玉川大学, 文学部, 教授 (60224242)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学習観 / 言説 / 社会環境 / 教師 / 教師教育 / インタビュー / ナラティブ・アプローチ |
研究実績の概要 |
平成26年度中に行ったことは主として1)収集済みのインタビューデータによる小規模のパイロットスタディー、2)研究方法の枠組みのさらなる裏付けの2つの領域である。前者については、インタビューデータ収集の段階で、本研究の中心となる「学習観」について、被験者から得る回答に当初の想定よりもはるかに多様性が見られたため、3名のデータについて先行して詳細を分析した。その経過については年度内に国内外で研究発表を行うと同時に一本の研究ノートと書籍(論集)の一章として刊行された。この過程において、英語学習者の学習観の変化のパターンの多様性と考えられる要因が絞られてきた。
もともと本研究の目的は言語教育の現場への還元が念頭に置かれていたことから、最終的には言語の教師に分かりやすいよう結果の提示およびそれをもとにした様々な助言がなされなければならない。平成26年度中に行った研究発表では当然そういったことを意識していたが、聴衆が受けてきたトレーニングにより、同じ内容でも受け取られ方が大きく異なることが判明した。本研究はもともとインタビュー、アンケート、ドキュメントをデータとした質的研究と位置付けて計画されていた。当然そういった質的研究方法を理解している聴衆とは、データの分析とその結果についての議論に移れるのであるが、そうでない場合聴衆に対しても研究法の妥当性、そして具体的に「何をどこまでできるのか」をより明確に説明できなければならないことがわかった。
このような経緯から、2)研究方法の枠組みの再考を行った。当初は大まかに「質的研究」という括りで進めていたが、Denscombe (2010)で指摘されているように、同じインタビューデータでも様々な処理方法があることを再認識し、特に「ナラティブ・アプローチ」(Barkhuizen ed. 2013)が本研究に最も適しているという結論に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が平成26年1月に病気(心筋梗塞)のために入院し、退院後も加療が必要であっため、特にインタビューとデータの書き起こしが2ヶ月ほど遅れていた。研究実績のところでも述べたように、当初の予定を変更し、1)データ処理と中間報告を同時進行させる、2)学会発表等でのフィードバックを活用するなどを優先に研究を進行させた結果、サンプル数は当初の予定より少ないものの、結論に導くために必要な情報は順調に収集できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は本研究の最終年度にあたるが、インタビューによるデータ収集は8月ごろまでは継続する。また引き続き積極的に中間報告等を行い、研究の成果を還元していくと同時に、ナラティブ・アプローチの枠組みで質的データ分析を行う。その際、インタビューで得た情報の全てを網羅するのではなく、Richards (2008)らが指摘しているように、コーディングを工夫し、研究の目的を達成するために必要な項目を選択し集中して分析を行う予定である。更に、研究全体のまとめとして1)言語教育の現場に応用ができる提案を行う、2)言語学習に関する言説の中で特に学習者の学習観に大きな影響を与えるものを抽出する 3) 上記の2)について、ナラティブ・アプローチおよび質的分析を用いて研究する長所および短所を再確認し、今後の同様な課題の研究のアプローチについても提案を行う。
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