研究課題/領域番号 |
25370740
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
大谷 麻美 京都女子大学, 文学部, 准教授 (60435930)
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研究分担者 |
岩田 祐子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50147154)
重光 由加 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80178780)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 話題展開 / 日本語 / 英語 / 聞き手 / 情報要求 |
研究実績の概要 |
本研究は、日・英語の会話を対照し、両言語の話題展開の特徴を明らかにしようと試みたものである。その目的は、多くの日本人が英語の言語知識をもちながらも、実際の英語会話に参加することに困難を感じている原因を解明することであり、この成果を今後の英語教育、特に英語での社会言語能力の育成に役立てようとするものである。 分析は、話題展開スタイル、話題の深さ、話題展開を引き起こす情報要求発話の構造の3点について行った。その結果、以下の点を明らかにすることができた。1)話題の展開スタイルには、日・英語では大きな違いがあり、英語では、会話参加者が相互に情報要求を行うインタラクティブなスタイルが主に使用されるのに対し、日本語では、話し手の話題に聞き手が介入せず、話し手が一人で話すモノローグ的なスタイルが好まれていた。2)この相違の大きな要因は、聞き手のふるまいにあることが指摘できた。英語の聞き手は話し手に積極的に情報の要求を行うことで、話題展開に大きな役割を担っていた。それに対し、日本語の聞き手は、話し手にあいづちやコメントで話題をうながしはするものの、話題の展開は話し手に大きくゆだねられていた。3)このような聞き手のふるまいの相違は、両言語の話題の深さにも影響を与えていた。英語では聞き手からの情報要求が話題を深めるの対し、日本語では聞き手からのあいづちやコメントのみで、話題が深まらないことが明らかとなった。4)また、日本語の聞き手の情報要求発話は、英語とは比較にならない多くのヘッジや言い訳発話などを伴い、相手の領域への侵略を極力回避しようとしていた。 つまり、両言語では話し手以上に聞き手のふるまいに大きな違いがみられ、それが話題展開のスタイルに影響を与えていた。日本人が英語で会話に参加しづらい原因の一つには、英語の聞き手としてのふるまいを理解していないことに一因があると考えられる。
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