• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

トライアンギュレーションを重視した日本人留学生の異文化適応過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25370742
研究種目

基盤研究(C)

研究機関関西大学

研究代表者

守崎 誠一  関西大学, 外国語学部, 教授 (30347520)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード異文化 / テキストアナリシス / 異文化適応モデル / 異文化適応能力
研究概要

異文化域に滞在することで人は様々な不適応を体験するが、それらは時間の経過とともに解消していき、やがては適応の状態を迎える。そのような一連の適応過程を説明するためのモデルには複数のモデルが存在し、明確な結論には至っていない。その背景には、滞在者の個人的特性やホスト文化の社会的特性が適応過程に影響し、全ての異文化滞在者が同じ経験をするわけではないことがある。加えて、この種の研究では滞在者の“語り”をデータとして収集・分析する必要があるが、これまでそのようなテキストデータを多くの滞在者から継続的に収集することは容易ではなく、また収集できたとしてもそれらを包括的に分析することは難しかった。
これに対して近年のインターネットの普及は、多様な個人的・社会的特性を持った異文化滞在者からの“語り”を大規模かつ継続的に収集することを可能にした。加えて、そのような多量のテキストデータを包括的に処理するためのテキストマイニングの分析手法とそれを可能にするソフトウェアも一般化した。
本助成金を得ての1年目の研究では、それら新しいデータ収集方法と分析方法について、既に収集を終えているデータに対して試行的な分析をおこない、その可能性と問題点について検証した。その成果の一部については関連学会で発表をおこない、その成果を広く周知するとともに、今後の研究に向けての意見を聴取した。
加えて、2014年春から1年間の予定で海外に滞在予定の大学生に対して既存の異文化適応能力尺度などを使った質問紙調査を実施し、異文化滞在経験が与える影響を検討するためのデータ収集をおこなった。また、同様のデータ収集を大学2年生の時に海外に1年間滞在し、2014年3月に卒業を迎えた大学生に対してもおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目に予定をしていた、(1)既集のテキストデータに対する試行的な分析、(2)2014年春から1年の予定で海外に滞在する予定の大学生に対する質問紙調査の実施、という2つの主たる課題については、ほぼ予定通り実施することができた。
より具体的には、(1)については平成22年度より既に3年間にわたって収集し終わっていた約450名の日本人学生の異文化不適応・適応過程に関する“語り”のデータからサンプルを抽出し、テキストマイニング分析をおこなって一般的な傾向を見るとともに、分析に関わる問題点の洗い出しなどをおこなった。(2)については、2014年1月に約160名の学生に対して「関係流動性尺度」と「国際適応能力尺度」からなる質問紙を配布し、郵送による回収をおこなった。その結果、96名から有効な回答を得た。この6割という回収率は、当初予定していた回収率よりも低く、そのことが今後の分析においてどのように影響するか若干の懸念が生じている。回収された質問紙に対しては、順次データの入力作業をおこなった。

今後の研究の推進方策

滞在中に記述されたテキストデータに対する本格的な分析に入るとともに、年度末に約1年間の海外滞在を終えて帰国した学生に対して、留学出発前に実施したものと同じ質問紙調査を実施して、データを収集する。それらの(1)テキストデータ、(2)帰国前のデータ、(3)帰国後のデータの3つのデータに基づく分析をおこなう。
より具体的には、収集したテキストデータを順次分析可能な形にデータベース化したうえで、テキストマイニング分析をおこなう。その際、学生の滞在文化の持つ社会的特性(滞在国、滞在地域、滞在形式:寮/ホームステイ、英語圏/非英語圏)と学生自身の持つ個人特性(外国語運用能力、異文化適応能力、性別)などが、テキストデータに表れた適応・不適応に関わる「語り」とどのように関連しているのか(いないのか)について統計的な解析をおこなう。加えて、そのような「語り」に基づく質的なデータの分析結果と「関係流動性尺度」や「国際適応能力尺度」などによって計測された量的データとの関係についても統計的に分析をおこなう。

次年度の研究費の使用計画

計画では1年目に2回の学会発表を予定していたが、研究の進展の都合で1回の発表となったため。
消耗品費(60万円)については、(1)本研究に必要な異文化適応および異文化間コミュニケーション関連の書籍の購入費、(2)「潜在プロフィール分析(Latent Profile Analysis)」を実行するための統計ソフト(M-Plus)の購入費、(3)大規模なテキストマイニング分析を高速で実行可能なワークステーションPCの購入費などに充当される。国内旅費(15万円+昨年度の繰越金16,631円)は、国内の関連学会での口頭発表に係わる旅費・宿泊費に充当される。謝金(5万円)については、テキストデータを分析ソフトに読み込める形に入力するための作業をおこなう学生への謝金(アルバイト代)に充当される。その他(30万円)については、本年度に実施する質問紙調査に係わる経費(郵送費、その他)に充当される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 異文化適応過程研究に対する新たな方法論的可能性2013

    • 著者名/発表者名
      守崎誠一
    • 学会等名
      多文化関係学会
    • 発表場所
      立教大学(埼玉県新座市)
    • 年月日
      20131019-20131020

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi