研究課題/領域番号 |
25370742
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
守崎 誠一 関西大学, 外国語学部, 教授 (30347520)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 異文化 / テキストアナリシス / 異文化適応モデル / 異文化適応能力 |
研究実績の概要 |
2014年の春に、(1)2年次に1年間の海外留学を必修とする外国語学部の1年生(96名)、(2)2年次に1年間の留学を経験した外国語学部の卒業生(38名)、(3)海外留学を必修としない文系学部(文学部・社会学部)の1年生(84名)を対象とする質問紙調査をおこない、そのデータの一部を使って、社会生態学的な指標である「関係流動性」と「海外志向/内向き志向」、および「異文化適応能力」の関係について検証をおこなった。その結果、海外留学を必修とする学部の学生(高海外志向)が必修としない学部の学生(低海外志向)よりも、「関係流動性」に関わる「付き合う相手を自由に選べる度合い」が高いことが明らかとなった。しかし、そのような高い関係流動性は、高い国際適応能力につながると予想されたが、今回の研究結果はそのような予想を支持しなかった。つまり、関係流動性と国際適応能力の間に正の相関は認められず、また高い関係流動性を示した外国語学部卒業生が他に比べて高い国際適応能力を示すといったことも無かった。本研究結果については、2014年11月に開かれた多文化関係学会第13回年次大会で発表した。 また、2015年の春には、1年間の留学から帰国した学生に対して出発前に実施したものと同じ質問紙調査(一部、追加の質問を含む)を実施し、留学経験による変化を探るためのデータの収集をおこなった。加えて、2年次に1年間の留学を経験し、2015年3月に卒業予定の学生に対しても同様の質問紙調査を実施した。収集したデータは適宜入力を終えている。 そのほか、昨年度に引き続いて既集のテキストデータに対する試行的な分析をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に予定していた、(1)2014年春に集めた質問紙のデータに対する分析の実施と結果の学会での口頭発表、(2)2014年度に1年間海外に滞在して帰国した学生に対する質問紙調査の実施、(3)2年次に1年間海外に滞在し2015年春に卒業予定であった学生に対する質問紙調査の実施、(4)2014年度に引き続いて既集のテキストデータに対する分析の実施、という4つの課題についてはほぼ予定通りおこなうことができた。 ただし、(3)の質問紙の回収を3月中に終える予定であったが、郵送での回収を実施したため4月になっても質問紙が返ってきており、もうしばらく回収を継続する予定である。そのため、回収されたデータは随時入力作業を実施しているが、すべてのデータの入力には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
テキストデータに対する本格的な分析に入るとともに、これまで収集した質問紙調査に基づく量的なデータとの関係について、詳細な分析を実施する。特に、テキストデータについては、対象となる学生の個人的特性(性別、外国語運用能力など)や海外滞在の際の社会的特性(滞在国、滞在地域、滞在形式(寮・ホームステイ)、英語圏/非英語圏など)との関係についても分析をおこなう。 これまでおこなった学会発表の原稿なども含めて、今回の研究の全体を報告書としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
「その他」予算に残高が生じた理由としては、本年度予定していたデータ分析に関わる委託費の支出が、来年度にずれ込んだことによるものである。原因は、3月中に終わる予定の質問紙の回収が4月にまでずれ込んだため、データ入力の完了が年度内に終わらなかったためである。 「謝金」予算に残高が生じた理由としては、アルバイトに関わる経費の支出が来年度ににずれ込んだことによるものである。原因は、上記のデータ入力の遅れによって、テキストデータとの統合・整理作業をアルバイトに委託することが、本年度に出来なかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
「消耗品費」については、(1)研究に必要な関連書籍、(2)収集したデータの保存のために必要な機器・メディア、(3)質問紙調査に必要な封筒・文具、などの購入費に充当される。「国内旅費」は、国内の関連学会での口頭発表に関わる旅費・宿泊費に充当される。「謝金」は、データの整理に伴うアルバイト経費に充当される。「その他」は、(1)データの分析委託費、(2)質問紙調査に関わる郵送費、などに充当される。
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