本研究は、日本語を解さない外国人被疑者の刑事事件において、法廷通訳人が文化の仲介者として、①どのような役割を期待されているか(もしくは期待されていないのか)、②実際にどのように機能しているか、③文化の仲介を行うとした場合の現状、課題、今後の展望について研究を行った。その結果、①日本における法廷通訳人の立場の脆弱性、②法廷参与者が法廷通訳人に対して持っている文化の仲介者としての役割に対する意識の差異、③被疑者の出自や背景が多様であり画一的なものが見当たらない、などが判明した。したがって、今後も①法廷通訳人を含めた司法通訳人制度の検討、②更なる談話収集の必要性が更なる研究課題となった。
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