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2013 年度 実施状況報告書

台湾総督府における地方行政機関の文書史料学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25370753
研究種目

基盤研究(C)

研究機関中京大学

研究代表者

東山 京子  中京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (80570077)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード台湾総督府文書 / 台湾総督府地方行政機関 / 台湾総督府 / 街庄役場 / 史料学 / 文書学 / 公文書学 / アーカイブズ学
研究概要

明治二八年から昭和二〇年までの日本統治下の台湾は、明治・大正・昭和への時代の移り変わりとともに変貌していった日本史のなかでの台湾という一つの地域として捉えられるとともに、本国政府の監督下にありながらも海を隔てた中央から遠い地域であるため、委任統治権を持った台湾総督のもとでの小国家としても見ることができる。
その台湾での行政機関であった台湾総督府の文書は、日本の近代公文書のなかで最も纏まった形で台湾に現存しており、これまでの調査研究において本府である台湾総督府の文書構造は明らかにしてきた。台湾総督府文書の内容構造の階層から見ると、まず、1本府たる台湾総督府の文書史料群としての『台湾総督府公文類纂』、次に、2台湾総督府の附属機関である専売局公文類纂および関係組織である台湾拓殖株式会社の文書、3県(庁・州)などの地方自治体における地方行政機関の文書、4台湾総督府の地方行政機関の下部組織である街庄などの文書で直接住民に係わる文書、の4つの分類に分けることができる。
本研究は、これらの編綴状態や内容構造の階層を踏まえた上で、3と4の地方の行政機関における文書構造を明らかにすることを目指したものである。
本年度は、国事行為として最も大きな祭典である大正四年と昭和三年に行われた天皇即位の御大典において、本国における国事行為が統治下にある台湾にどのような影響を与えたのかを現存する記録史料から捉え、催事における本府と地方との関連について分析した。さらに、昭和一〇年に発生した台湾大地震による被災地での救済と復興を住民に直接かかわる末端組織である地方行政機関がどのように行ったのかについて、台中州の内埔庄役場文書史料から明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は台湾総督府文書のなかの地方行政機関における文書構造の解明であるため、一年目はまず、本府の台湾総督府に引き継がれた旧県(台北県・台南県・台中県・新竹県・台東庁・鳳山県・嘉義県)の文書、台北州の鶯歌庄文書と台中州の内埔庄文書および彰化県の花壇国民学校文書を収集した。また、これらの文書のなかの大正四年と昭和三年に行われた天皇即位の大典における文書と大典に関する新聞記事および大典記念碑などの「もの」資料を収集した。さらに、昭和一〇年に発生した台湾中部の大地震に関する地方行政機関の文書を鶯歌庄の役場文書と内埔庄の役場文書から収集した。
これらの収集した文書を分析し、国内ではシンポジウムにおいて、台湾では国史館台湾文献館および国立台湾図書館における学術研討会において報告し、社会科学研究所の紀要と叢書および学術研討会論文集にそれぞれの論文を発表した。さらに、今年八月には地方行政機関の文書管理について台中州の内埔庄役場文書を考察し発表する。

今後の研究の推進方策

本年度も、昨年度に引き続き国内では国立国会図書館と宮内公文書館において、台湾では国史館台湾文献館と国立台湾図書館において、台湾総督府および地方行政機関に関する文書および旧県文書を収集し、台湾における日本統治時代の役場文書および地方の末端の機関としての学校文書を探求する。このほかにも、日本統治時代における「もの」資料についても調査し、台湾に現存する日本の統治期史料の全体像を明らかにする。
台湾総督府および地方行政機関における文書構造と文書保存および文書編綴の方法を分析することにより、本府においてはどのような文書を必要としたのか、地方において必要な文書は何であったのかを解明していく。

次年度の研究費の使用計画

外国(台湾)通貨への両替時に端数が生じた為。
計画の変更はなく、余剰金の822円は旅費または調査地での史料収集のために使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] 「昭和一〇年台湾大地震の被災地における復興と慰霊-台湾総督府地方行政機関文書・専売局文書からの考察-」2014

    • 著者名/発表者名
      東山京子
    • 雑誌名

      『社会科学研究』

      巻: 第34巻第1号・2号合併号 ページ: 67-133

    • 査読あり
  • [学会発表] 「内埔庄役場文書から見る台湾総督府地方行政機関の文書管理」2014

    • 著者名/発表者名
      東山京子
    • 学会等名
      第九届臺灣總督府档案學術研討會
    • 発表場所
      國史館臺灣文獻館
    • 年月日
      20140828-20140829
    • 招待講演
  • [学会発表] 「台湾統治関係資料情報の公開と課題」2014

    • 著者名/発表者名
      東山京子
    • 学会等名
      2014年度第19回東アジア近代史学会研究大会第14回歴史資料セッション「大学の保管する歴史資料の現状と課題」
    • 発表場所
      麗澤大学
    • 年月日
      20140621-20140622
    • 招待講演
  • [図書] 『アーカイブズ学要論』(「歴史とアーカイブズ」)2014

    • 著者名/発表者名
      上代庸平、檜山幸夫、土井崇弘、早川和宏、桑原英明、東山京子、湯上良、野口健格、手塚崇聡、酒井恵美子、鈴木哲造、臼井進
    • 総ページ数
      325(142-166)
    • 出版者
      尚学社
  • [図書] 『アーカイブズ学要論』(「台湾」)2014

    • 著者名/発表者名
      上代庸平、檜山幸夫、土井崇弘、早川和宏、桑原英明、東山京子、湯上良、野口健格、手塚崇聡、酒井恵美子、鈴木哲造、臼井進
    • 総ページ数
      325(224-234)
    • 出版者
      尚学社
  • [図書] 『知と技術の継承と展開-アーカイブズの日伊比較-』(「日本帝国の台湾統治文書のアーカイブ」)2014

    • 著者名/発表者名
      檜山幸夫、マリア・バルバラ・ベルティーニ、マリオ・インフェリーゼ、大濱徹也、井口和起、東山京子、湯上良、野口健格、上代庸平
    • 総ページ数
      295(109-145)
    • 出版者
      創泉堂出版
  • [図書] 『歴史のなかの日本と台湾』(「台湾の震災と台湾総督府官僚-被災調査報告の共有化と被災記録の伝承」)2014

    • 著者名/発表者名
      檜山幸夫、川島真、駒込武、東山京子、鈴木哲造、呉文星、中田敏夫、林初梅、蔡錦堂、本康宏史
    • 総ページ数
      287(95-127)
    • 出版者
      中国書店
  • [図書] 『第七届臺灣總督府档案學術研討會論文集』(「恩赦文書から見る台湾総督府の文書管理」)2013

    • 著者名/発表者名
      歐素瑛、酒井恵美子、劉澤民、呉昱瑩、李岳牧、許錫慶、徐國章、何鳳嬌、蕭明治、顔義芳、黄得峰、檜山幸夫、李為楨、東山京子、他4名
    • 総ページ数
      594(391-424)
    • 出版者
      國史館臺灣文獻館
  • [図書] 『近代東亜中的臺灣 國際學術研討會論文集』(「大典と行啓-台湾における盛典と記念事業からの考察-」)2013

    • 著者名/発表者名
      呉文星、蔡錦堂、李力庸、張素;、陳鴻圖、劉士永、鄭根埴、大友昌子、檜山幸夫、東山京子、胎中千鶴、林蘭芳、河原功、歐素瑛、鹿錫俊
    • 総ページ数
      333(190-216)
    • 出版者
      國立臺灣圖書館

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公開日: 2015-05-28  

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