研究課題/領域番号 |
25370754
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高橋 秀寿 立命館大学, 文学部, 教授 (70309095)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 空間 / 主権 / 植民地主義 / 時間 |
研究実績の概要 |
今年度は「グローバリゼーションと植民地主義の観点からの主権と空間の歴史的分析研究会」(略して「主権と空間研究会」)を組織し、二回の研究会を開催した。第一回目は6月21日に早稲田大学から鵜飼健史氏を招き、コメンテーターに大阪産業大学の水嶋一憲氏を立てて、「現代福祉国家における「主権と領域」―-主体と共生の共時的な構成」の研究報告と議論を展開した。第二回目は1月17日に第1部「ナショナリズムと宗教」として早稲田大学の斉藤正樹氏が研究報告「世紀転換期ドイツにおけるナショナリズムと宗教-フェルキッシュ運動 (Volkische Bewegung)を例として-」と題して研究報告を行い、南山大学の永岡崇氏がコメンテーターの役を担った。第二部は「植村和秀著『ナショナリズム入門』(講談社現代新書)書評会」で、筆者を交えて、大澤真幸氏が評者となって、議論を展開した。 研究代表者の高橋秀寿は3月末に著作『記憶と国民形成--戦後ドイツの時間/空間』の原稿を書き上げ、岩波書店に提出した。現在は編集部にて編集作業が行われている。目次は以下のとおりである。 「序論 目的と方法」、「第一章 「零時」の記憶と表象」、「第二章 復興期の国民形成」、「第三章 高度成長期における国民の形成と編成」、「第四章 時間/空間の構造転換」、「第五章 構造転換における記憶と国民形成」、「終わりに――記憶と「日々の国民闘争」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、研究代表者の高橋秀寿は立命館大学内の研究所「国際言語文化研究所」の所長を務めており、研究所機構を支え、多くの企画にかかわっている。とくに昨年度は連続講座「西川長夫――業績とその批判的検討」を10月に5回にわたって行ったため、本来の研究活動のエネルギーの多くがこの連続講座に吸い取られてしまった。したがって、研究所所長としての責務に忙殺されてしまったために、「主権と空間研究会」を二度しか実施することができなかった。しかし昨年度は著作の執筆を終えることができ、研究会でも議論を活発に行うことができたため、今年度に研究実績を継承できる素地はできた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も「国際言語文化研究所」の所長の職務を全うしなければならないが、「主権と空間研究会」を秋か冬に行う予定のシンポジウムを成功させるために、充実して研究会活動を行っていく。今後は現在のところ問題になっている領土をめぐるナショナリズムの高揚や、国内のマイノリティ(移民や在日外国人)にたいする排外主義にとくに注目して研究会を行い、空間と主権の関係に関して研究を推し進めていく予定である。すでに韓国の領土ナショナリズムを研究している韓国人研究者を5月に招聘して、研究会を行うことになっている。シンポジウムもこのテーマに関して深める内容となる予定である。そのシンポジウムの成果は学内紀要『立命館国際言語文化研究』に公表することになっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究活動と学内業務に忙殺され、研究会活動が十分にできなかったが、次年度に大きなシンポジウムを計画しているので、予算を次年度に残す必要も生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年に多くの研究会を催し、年度末に大きな国際シンポジウムを予定している。
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