平成25年度は、研究の初年度として、近代日本の軍隊と食の問題を検討する上での基基礎となる各種資料の収集を行った。雑誌『糧友』をはじめとする啓蒙雑誌、川島四郎『食糧研究余話』や海軍経理学校、陸軍経理学校の同窓会誌など元軍人たちの回想録、『軍隊調理法』などのマニュアル類などである。史料は昭和戦中期にとどまらず、明治・大正期に刊行されたものも、積極的に収集した。 また、軍隊における食・栄養と密接に関連する、医療・医学の問題についても視野を広げるべく、雑誌『軍医団記事』より関連記事をピックアップしてリストを作成した。 本年度はこれら研究上の基盤となる文献リストを作成したのであるが、これだけ充実したリストは現在のところ作られていないと思われるので、この点を今年度の成果としたい。今後は、このリストを活用し、陸海軍のなかで食に関する施策がどのように変化しながら形成されていったのかを具体的に追求することが課題となるので、次年度以降積極的に取り組みたい。 本年度はまとまった成果を公表するには至らなかったが、研究で得た知見を生かし、著書『日本軍と日本兵』(講談社現代新書)におけるアメリカ軍のみた日本軍兵士の食・医療状態に関する記述を充実させることができた。
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