研究課題/領域番号 |
25370761
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
一ノ瀬 俊也 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (80311132)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 戦争 / 栄養 / 軍隊 |
研究実績の概要 |
今年度は前年度に引き続いて、戦前日本陸海軍の食に関する歴史資料の収集と分析を行った。具体的に収集したのは、糧友会(陸軍主導で作られた食糧知識普及団体)『糧友』、陸軍軍医団『軍医団雑誌』の収集、陸海軍の経理・給養に関する規程・マニュアル類の収集、経理関係者団体の回想録・部隊史の収集、などである。 『糧友』については、創刊から休刊まで、重要と思われる記事の複写を行ったが一部未閲覧・未収集の巻号が残ってしまった。また、これとは別に戦前刊行されていた『軍医団雑誌』から、栄養・糧食に関連する記事を抽出し、題名目録を作成した。 陸海軍の経理規程・マニュアルについては市販されている原史料を数点収集するとともに、各所蔵機関に赴いて複写を行った。陸海軍の経理関係者の回想については、陸軍経理学校・海軍経理学校出身者の体験記を収集して、必要な情報を複写した。 今年度は軍隊・戦争と食の問題に直接関連する研究成果を公表することはできなかったが、資料調査の過程で入手した軍事、とくに海軍関係資料を用いて図書『戦艦大和講義』(人文書院)を執筆し、平成27年4月に刊行する運びとなった。同書は戦後日本における戦争体験の語られ方とその変化の一端を解明したものであり、軍隊における「食」が戦前・戦後日本社会の戦争観をいかに規定したのかという本研究の課題に、別の側面からアプローチした成果と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料の収集・整理に注力した結果、その作業自体には一定の目処を付けることができたものの、分析と一部の公表という当初の目的を達成するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度・今年度に収集した諸資料を分析し、研究の最終年度へ向けて公刊を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠方地域への資料調査の回数が予定より少なかったため、若干予算が余ってしまったので、次年度は必要な調査を実行したい。
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次年度使用額の使用計画 |
遠方地域への資料調査を1ないしは2回追加で実施し、早急に実行する。
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