研究課題/領域番号 |
25370762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 珠紀 東京大学, 史料編纂所, 助教 (10431800)
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研究分担者 |
矢部 健太郎 國學院大學, 文学部, 准教授 (20459001)
堀 新 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (80296524)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 織豊期 / 戦国期 / 古記録 / 政治史 / 制度史 |
研究概要 |
本研究課題は、まず室町後期・織豊期の古記録の所在(原本・写本の所在)、その記録時期を通観できるようにし、特に重要なものについては史料的性格を明らかにし、翻刻、フルテキストデータ作成などの歴史情報資源化を行い、さらにこれらを研究資源として有効活用できるようにする。その上で、当該期の政治史・制度史などにつき実証的再検討を行うことを目的としたものである。 まず初年度にあたる本年は、諸機関の刊行する目録などで史料の所在に就き予備調査を行った。さらに天理大学付属図書館、石川武美記念図書館、早稲田大学付属図書館、宮内庁書陵部などの史料所蔵機関に赴き、史料調査を行った。 また「兼見卿記」「諸奉行」「綱光公記」「楽家多氏文書」「中山家記」「御湯殿上日記」などの史料について検討を進めた。これらは順次、翻刻紹介を行う予定である。詳細については後掲する。いずれも当該期を知る上で重要な史料であるが、十分な史料的検討がなされてこなかったものである。 データベースによる情報公開については、天正3年「大外記中原師廉記」を東京大学史料編纂所古記録全文フルテキストデータベースにおいて公開した。また研究分担者堀は『戦国大名の古文書』東日本編・西日本編の編集に携わり、良質の史料およびその写真を広く見られるよう努めた。 こうした基盤となる史料を踏まえ、当該期の政治史・制度史についても再検討を進めている。本年度は堀新「織田政権論」『岩波講座日本歴史』10・近世1、岩波書店、2014年。矢部健太郎『関ヶ原合戦と石田三成』吉川弘文館、2014年。金子拓「誠仁親王の立場」『織豊期研究』15、2013年などを発表した(詳細は後掲)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題遂行の4つの柱は①史料調査・蒐集、②それら史料の検討・翻刻、③紙媒体あるいはデータベース等により広く歴史情報資源化すること、④上記を踏まえ実証的に室町後期~織豊期の政治史・制度史をとらえ直すことである。 本年度は初年度であるが、後掲実績に示した通り①②を中心に、この4つの柱がいずれも順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題遂行の4つの柱は①史料調査・蒐集、②それら史料の検討・翻刻、③紙媒体あるいはデータベース等により広く歴史情報資源化すること、④上記を踏まえ実証的に室町後期~織豊期の政治史・制度史をとらえ直すことである。本年度以降も、この4つをバランスよく課題を遂行していきたい。 本年度は、4つの中でも特に史料調査・蒐集に重点を置く予定である。また申請書に示した通り「徳大寺公維記」をはじめとする徳大寺家関係史料、「綱光公記」「兼見卿記」などの上級・中級貴族の史料に着目し、研究を進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね計画通りに研究は進展している。調査旅費について、旅程の関係で余剰分が発生した。 分担金については、分担研究者矢部は、2014年度は豊臣秀次に関する研究史の再検討のほか、『御湯殿上日記』に関する研究を進めた。当年度は研究史、史料の読み込み、写真帳との対校を中心に行った。また2015年度にサバティカルを取得する予定となったため、15年度に調査・謝金による研究課題の遂行を集中的に行うこととし、その費用が必要であると見込まれたため、2014年度分分担金の多くを15年度に繰り越した。 次年度の調査のための旅費、またデータ整理のための謝金に繰り入れて執行する予定。
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