本研究は江戸南端に隣接し、一部江戸町方に包摂される「品川宿村」を対象とし、江戸近郊における地帯構造の解明をめざした。主たる成果は下記のようである。 ①品川宿村の社会=空間について、とくに北品川の構造を解明した。そこでは宿駅としての北品川宿1~3丁目、歩行新宿1~3丁目のほか、数個の寺社門前町群を見いだした。②当該地帯のヘゲモニー主体として、a地方百姓の共同組織としての村、b食売旅籠屋の共同組織からなる有機的結合の存在を解明した。③歩行新宿における疑似遊廓的な様相とその特質を検討した。④南北品川宿や隣接部における都市下層社会の分厚い存在に注目し、悪党・無宿・ぶらんさんなどの特徴について解明した。
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