研究課題/領域番号 |
25370768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
塚本 明 三重大学, 人文学部, 教授 (40217279)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 海民 / 海女 / 出稼ぎ / 熨斗鮑 / 朝鮮出漁 |
研究概要 |
4.研究成果 海の博物館(鳥羽市浦村町)、鳥羽市立図書館、志摩市越賀町郷蔵が収蔵する志摩漁村の古文書類を調査・分析し、江戸時代の海女の技能をテーマに論文にまとめた。絵画資料を合わせ読み解くことにより、船上の男と海女との分業関係や、体温を維持するための装置について、知見を得た。またノミなど魚貝を獲るための道具や装束という観点に止まらず、志摩漁村において海女漁を成り立たせている知恵や工夫という点から、年間暦や出稼ぎのあり方、獲物の販売についても注目した。季節に応じて獲物を変え、時には農業や林業に従事し、磯が荒れた際には近隣に出稼ぎに行く形態が、江戸時代における志摩海女の生業の特質である。加えて、海女自身によるアワビの熨斗鮑への加工や、テングサなど海草類を晒し草に仕立てて販売している様相を見出した点が、従来明らかになっていなかった成果である。生の獲物を加工して保管することにより、京都・大坂など外部の商人に対して有利な立場で販売することが可能になったのであり、いわばローカルな経済において「六次産業化」が行われていたことが判明した。これらの成果の一部は、日本水産学会秋期大会および海女文化シンポジウムにおいて報告した。水産学会誌に報告の概要を発表したほか、三重県教育委員会が刊行した『海女習俗詳細調査報告書』に、「古文書史料にみる海女漁の「技能」」と題して寄稿した。 また、熊本市や愛媛県、和歌山県などの図書館、博物館において近代の行政史料や新聞類を調査した。特に、明治以降に志摩海女が全国的に出稼ぎに行くあり方、またそれらと関連しつつ、各地から海女が朝鮮半島へ出漁する動きに関する資料を見出し、次年度以降の分析に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
志摩地方の漁村史料の調査に関しては、三重県教育委員会の協力を得ることで当初想定していた以上の進展を得た。また、海女の技能についてまとめる機会も得られた。 宗門人別改帳の分析はまだ一部にとどまっており、また県外の行政文書の調査は、一部閲覧が停止されていたことから予定の変更を余儀なくされたが、基本的には順調に情報を集積できている。
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今後の研究の推進方策 |
海女文化シンポジウムにおける研究者交流により、東京海洋大学に近代の海女漁業関係資料が比較的豊富に収蔵されているとの情報を得た。次年度には同大学の図書館への調査を加えて、近代の朝鮮出漁に伴う問題を分析する。また、志摩漁村、熊野灘沿岸漁村の史料調査を継続し、新たな史料の発掘を図る予定である。
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