本研究では、幕府が「鎖国」をヨーロッパに対する外交体制として採用する歴史段階を確定し、「鎖国」体制の特質を明らかにすることを課題とした。この研究により、ロシアの出現という事態が日本人の世界認識に転換を促した事実を発見できた。すなわち、広大で強大なロシアの存在が認知された結果、そのようなロシアが存在する世界とはどのようなものなのか、という問いが生まれ、その探究によって、ヨーロッパが一つの勢力として、世界を席巻しつつある事実が認知されたのである。「鎖国」の語は、このような世界認識の転換のダイナミズムの中で生まれた語であり、ヨーロッパ概念抜きには成り立ち得ない認識であったといえよう。
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