研究課題/領域番号 |
25370770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横田 冬彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (70166883)
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研究分担者 |
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30202146)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本近代史 / 遊郭 / 遊客 |
研究概要 |
本研究は、近代日本の遊郭について、遊女屋が記録していた「遊客名簿」を素材に、男性遊客と娼妓の実態を分析することを目的とする。初年度の具体的作業としては、①研究代表者が収集した、長野市善光寺門前島田屋の「遊客名簿」の入力を行うとともに、②本研究の主素材である福島県郡山市蓬莱楼の文書整理と、その「遊客名簿」の入力を開始する。③あわせて蓬莱楼関連の現地調査をおこない、関連史料の収集に努めることを計画した。また、これらを通じて、近世から近代への遊郭の変遷の見通しを得ることをめざしたい。 ①については、島田屋の「遊客名簿」で14000人分の入力を完了した。またあわせて、娼妓個人の出勤帳の入力もほぼ完了した。現在その分析を行いつつある。 ②蓬莱楼文書の整理・目録化を完了し、経営帳簿の一部(数百丁の厚みを持つ大福帳)を除き、写真撮影も終えた。このうち主たる対象となる「遊客名簿」について、明治42年~大正2年までの8800人分についてデータ入力を終えた。これは、「遊客名簿」全体のおおよそ三分一である。これらの分析は、全体の入力を終えてからになるが、現在のところでは、明治から大正にかけて総数が顕著な増加が認められること、福島県全域からの登楼がみられること、都市部だけでなく農村部の農民もかなりの比重を占めること、などが明らかになりつつある。「遊客名簿」の筆跡はかなり崩れた読みにくいものであるが、量をこなすに従って、地名・人名などの解読が速やかになっている。 ③蓬莱楼関連の現地調査を企画していたものの、実施できなかった(第2年度に実施予定)。しかし、東北地方の他地域での「遊客名簿」の存在を数カ所で確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる具体的作業は「遊客名簿」のデータ入力であるが、「実績の概要」にも記した通り、①の島田屋文書を終え、②の蓬莱楼文書も一定度終えることができた。当初の研究計画では、この入力を3年の年限で終了できるか不確定であったが、入力の熟練が進むことで、おおよそ終了できる目途がたった。よって「おおむね順調」と評価した。③については、初年度に予定していた現地調査ができなかったが、これは、あらたに蓬莱楼のある郡山市以外で、東北地方における史料所在が判明したことによるもので、それらをふくむ現地調査の計画を練り直す必要があったからである。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度も、おおよそ当初計画通り進める。②について、蓬莱楼の「遊客名簿」については、4万人分あるとみられるデータ入力の過半を終わらせたい。③の現地調査については、あらたな史料所在地もふくめて、夏期休暇時に実施を予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
主として、現地調査費用を繰り越したが、それは新たな史料所在などが判明した結果、調査計画を練り直す必要が生じ、現地調査を第2年度へ先送りしたためである。 初年度に持ち越した現地調査は、本年度8月に実施予定である。また、データ入力のための人員を1名増加したい。
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