研究課題/領域番号 |
25370777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
勝部 眞人 広島大学, 文学研究科, 教授 (10136012)
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研究分担者 |
木村 健二 下関市立大学, 経済学部, 教授 (60225034)
弁納 才一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (90272939)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組合主義 / 伝統的村落社会 / 中国合作社 / 朝鮮金融組合 / 産業組合 |
研究概要 |
秋田県公文書館において実施した明治末期の「産業組合復命書」等の調査から、部落組合運営の危うさが浮き彫りになった。これは、従来「自治能力を持った部落単位の組合であるゆえに発展した」とされてきた理解とかなり異なる歴史的イメージとなる。秋田県という一地域ゆえの問題ではなく、おそらく全国的に共通する課題であったと考えられる。いずれにせよ、ムラ社会と産業組合との関係性を再検討していくという本研究の目的に深く関わる手がかりを得ることができた。 また研究分担者と共同で行った上海図書館での調査において、「合作訊」「合作月刊」という基本資料の画像データを入手することができた。これは金沢大学と広島大学で保管されるが、日本で中国合作社研究を進めていくうえでの重要な財産となるであろう。 ただ日本における明治以降のムラ社会の動向を直接示す史料にはまだ行き当たっておらず、その調査は課題として残されている。山口県あるいは秋田県において区有文書の所在を探しているが、現在のところはまだ有益な情報にたどりついていない。理想的には産業組合の監査ないし調査復命書と符合する地域の区有文書が発見できれば研究課題に一気に接近できるが、まずは明治期以降のムラ社会の歴史的現実を文字資料によって解明できる方向性を探っていくことにしたい。 また韓国における調査もまだ進展できておらず、金融組合など日本の統治策によって持ち込まれた組合主義と、韓国の伝統的社会との関連如何の解明はまだ糸口を見いだせていない。 ともあれ本研究は、東アジア社会における組合主義と伝統的社会との親和性あるいは逆に背離性の解明をとおして、それぞれの地域における発展類型のありようを探り出していこうとするものである。これは現代におけるそれぞれの経済発展の底流に流れる地域的特質解明の一助になるものであろうと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内では山口県・秋田県を対象に調査を進めているが、まだ区有文書を見いだせない状況にありなお調査の必要がある。また韓国における調査も、スケジュールの都合上あまり進められていない。 しかしいっぽうで、秋田県における明治末期産業組合の復命書にかなり重要な手がかりが残されていること、あるいは上海図書館での「合作訊」「合作月刊」調査はきわめて有益なデータを得ることができた点は進展といえる。
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今後の研究の推進方策 |
山口・秋田両県での区有文書所在情報を収集する必要がある。また韓国の国会図書館、大田にある朝鮮総督府文書の調査も進めていく必要もある。
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次年度の研究費の使用計画 |
スケジュールの都合上、年度末に上海調査に行かざるを得ず、上海図書館で資料複写を行うための経費処理が翌年度に回らざるを得なかった。 すでに入手済みの複写資料について、上海図書館の領収書を保存している。これに基づいて経費処理を行っていく。
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