研究課題/領域番号 |
25370783
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
前村 佳幸 琉球大学, 教育学部, 准教授 (10452955)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 『遺老説伝』の校訂 / 『遺老説伝』の訳注 / 古文書・典籍の修復と料紙調査 / 近世琉球の古文書・典籍の料紙調査 / 竹紙と青雁皮紙 / 琉球の説話 / 琉球の史話と史伝 / 宮古島の史話と史伝 |
研究実績の概要 |
『遺老説伝』とは、近世琉球において通史として編纂された『球陽』の外巻である。その基本的性格は説話集であるが、地域の固有性や編纂者の論理などが読み解かれるべきである。さらに、その貴重な料紙を検討することにより、日本史における史料論の側面から研究を推進することができる。 本研究においては、以下の3点により、総合的に推進してきた。 1.各種テクストの調査にもとづく校訂本の作成、現代語訳への取り組みなど、新たな底本・定本確立のための基礎的研究を行った。 2.本文内容について、その主題や編纂意図を他の文献と比較しながら検討してきた。そこから、近世琉球の王府の統治意識などを読み取ることができる。 3.書物の実物に着目し、その装幀や料紙など、物質面に関する調査・分析を行った。計画とは別の本についても、サンプルを得て顕微鏡観察などを行い、書写された地域に即した紙の原料(青雁皮)が配合されていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度にて研究終了としていたが、事情により、延長していただいた。年度末に、専門家を研究協力者として、計画対象外としていた典籍の修復・調査・分析を行うことになり、また、『遺老説伝』に関連記事の多い宮古島への実地調査が可能となった。こうした追加調査を行ったことにより、校訂テクストの訳注を主体とする研究成果報告書の刊行を先送りせざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
本文テクストの校訂・訓読と一部の現代語訳(試訳)を推進し、研究成果報告書を刊行する。その間、本文内容と料紙、二つの領域における研究成果を論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
沖縄県内に必要なテクストを確保し、校訂のための東京出張を実施する必要が減じた。 校訂・訳注テクストの正確性を高めるために、研究期間を延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
料紙分析のための機器使用と染色液の調製。 校訂テクストを研究成果報告書として刊行。
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