研究課題/領域番号 |
25370785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
東 昇 京都府立大学, 文学部, 准教授 (00416562)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近世史 / 日記 / 天草 / 対馬 |
研究概要 |
天草郡高浜村上田家日記については、これまで翻刻・データ化が完了した期間(寛政5年~文化15年)前後の翻刻・データ化を進めた。その結果、研究対象の上田宜珍が庄屋となった①寛政2年(1790)4月~3年2月まで、次代の庄屋期の文政5年(1822)1年分の翻刻・データ化を実施した。 史料調査に関しては、2013年9月25~29日に①高浜村庄屋上田家日記中に登場する「練兵日記」について、久留米市立中央図書館所蔵の有馬文庫の該当資料を確認し、内容を調査した。②長崎県立対馬歴史民俗資料館所蔵「宗家文庫」の毎日記(文化9年・享保2年)の内容調査、撮影を行った。 共同研究者との研究会「地域情報・比較史料学研究会」を2回(5月、10月)開催した。そこでは①高浜村上田家文書の調査、研究方法、②山城国愛宕郡の近世村落の地域情報を記録した「郡村誌」について、地域情報の調査、記録の実態について研究成果の報告や今後の調査方法の検討を行った。 これらの研究の成果として、特にデータ化・分析が進んだ高浜村上田家日記では、まず高浜村上田家文書を対象とした論文「近世後期庄屋日記にみる地域情報の収集・伝達―肥後国天草郡上田家と船頭情報―」(『京都府立大学学術報告(人文)』65、2013.12)を公開できた。そして日本史研究会例会で報告「近世の庄屋日記と地域情報-天草郡高浜村上田宜珍の記録-」(2013.12)を行った。 その他、対馬藩の「毎日記」については、文化9年分に焦点をあてて分析を進めており、関連する論考をまとめた(刊行は翌年度以降)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記した3つの対象地域(肥後国天草郡高浜村、山城国久世郡上津屋村、対馬国対馬藩)のうち、調査・分析は「研究実績の概要」にも記したが、いずれの地域でも進めている。調査実績に記していないが、上津屋村の伊佐家文書の日記についても、全体の確認、内容の分析を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、特に本年度実施できなかった高浜村上田家文書の現地調査を行う予定である。上津屋村、対馬藩についても引き続き調査・分析を進めていきたい。 研究計画の変更として、近世村落の地域情報を記録した明治10年代の「郡村誌」についても調査・分析を進めたい。今回対象地とする山城国上津屋村を含む山城8郡の「郡村誌」(京都府立総合資料館所蔵)が現存している。これらは明治政府の統一基準による地域情報が記録されており、近世との比較において、その差異が明らかになると考えられる。また上津屋村など畿内村落の歴史・地理的背景を知る上でも重要な史料である。「郡村誌」については、調査地が近隣のため費用など変化はない。
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