研究課題/領域番号 |
25370787
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研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
平子 玲子 (広瀬玲子) 北海道情報大学, 情報メディア学部, 教授 (60216596)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 植民地責任論 / 女性の植民地責任 / 植民地朝鮮 / 在朝日本人女性 / 愛国婦人会朝鮮本部 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、日本の植民地であった朝鮮に在住した日本女性が、植民地支配において果たした役割とその責任を明らかにするという目的で研究を進めた。具体的には以下のとおりである。 1 『朝日新聞 外地版』、雑誌『愛国婦人』に掲載された愛国婦人会朝鮮本部・地方支部関連の記事を収集して読み込み、朝鮮愛国婦人会関連年表に加筆した。 2 収集した資料をもとに、併合後から満州事変開始までの朝鮮における愛国婦人会の活動について考察したところ、以下の点が明らかになった。① 内地や台湾の愛国婦人会は1917年から社会事業団体へと舵を切ったと指摘されているが、朝鮮半島では様相が異なる。② 朝鮮において愛国婦人会は第一次世界大戦から連続するシベリア出兵をも背後で支える軍事援護活動を強力に展開した。③ 満洲地域と接する国境警備に当たる警察官・憲兵・守備隊への支援活動を途切れることなく行った。④ 3.1独立運動を弾圧する軍隊・警察を援護した。⑤ ②③④以外に、社会事業・救済事業を通じて「日鮮融和」を図り、朝鮮女性を「文明化」し、組織する活動を展開した。 すなわち、大陸の兵站基地として位置づけられた朝鮮半島の軍事的位置(満洲地域と国境を接しており、国境地域に植民地支配に抵抗する勢力が結集している。シベリアへ出兵する軍隊の通過点となり、朝鮮に配置された軍隊からも出兵している)という点から、継続的戦争状況が存在し、愛国婦人会はこれを支える軍事援護活動を要請され、これに応えた。 その反面、⑤の活動をも展開するという両面活動を行った。これが内地や植民地台湾の愛国婦人会との違いである。 3 ⑤の側面を論文にまとめ、発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収集した資料を読み進めた結果、韓国併合から満州事変開始までの愛国婦人会朝鮮本部・地方支部の詳細な活動が明らかになった。 その成果を論文にまとめ、発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1 朝鮮における愛国婦人会の関連年表を完成させる。 2 韓国併合から満州事変開始までの愛国婦人会朝鮮本部・地方支部の軍事援護活動について論文にまとめる。 3 満州事変から愛国婦人会が大日本婦人会へ統合されるまでの時期の活動について論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当研究に関して収集すべき資料が残っている。資料の所在は国立国会図書館でありそのための費用(複写費)が必要である。 年表作成のデータ整理を依頼するための人件費が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
所在を確認した関連資料を複写し、収集資料を読み込みデータ整理を行い、朝鮮愛国婦人会関連年表を完成させる。
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