研究課題/領域番号 |
25370788
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
大平 聡 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40192520)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学校日誌 / 学校資料 / 学籍簿 / 沿革誌 / 地域史 |
研究概要 |
2013年度は、宮城県内4市町(多賀城市、登米市、色麻町、七ヶ宿町)における資料調査と資料蒐集を実施した。まず、多賀城市教育委員会の依頼を受け、市内2小学校(山王小学校・多賀城小学校)の昭和6年度から昭和22年度までの学校日誌の記述内容を全文データベース化する作業を行った。 次に登米市においては、登米市歴史博物館と協議し、教育委員会の了承を得て、市内小・中学校校長会で趣旨説明を行い、各学校に保管されている文書の目録作成作業と、学校日誌を中心とする資料調査を実施した。登米市内には、小学校22校、中学校10校があるが、2013年度は小学校20校、中学校7校において作業を行った。色麻町においては、市内2校の小学校の統合を前に、各学校に保管されている文書の整理・保全について教育委員会より相談を受け、目録作成作業を行った。また、許可を得て学校日誌の調査・資料収集を実施した。七ヶ宿町においては、やはり市内2校の小学校の統合を前に、統合後に統合校内に設置する資料室作成のために、各学校所蔵資料の調査の依頼を受け、まず統合後に廃校となる湯原小学校の資料目録作成作業を実施した。 以上の調査を通じ、学校資料の構成についての知見を増やし、また、アジア・太平洋戦争期の教育実態を検討する上に必要な資料を収集することができた。可能な限り、昭和21年度までの残っている日誌すべてについて、全頁撮影を行った。 学校資料の組成・構成について得られた知見をもとに、新潟大学災害・復興科学研究所危機管理・災害復興分野主催によるシンポジウム「震災資料・学校資料をどのように保全し活用するか」において「学校資料の保全と活用―その実際と課題―」と題して口頭報告を行った。また、気仙沼市教育委員会と共催で、すでに気仙沼市内で実施し、収集した学校日誌による、「学校日誌に見る昭和の気仙沼」展を実施し、研究成果の一端を公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度は、当初、登米市内における資料調査のみ実施を予定していたが、多賀城市・色麻町・七ヶ宿町教育委員会より、資料調査・目録作成作業の依頼を受け、予定していた以上に資料調査を実施することができた。 登米市は、広域合併により学校数が格段に多くなり、教育委員会の支援を受け、調査事例を効率的に増やすことができた。登米市には、旧登米小学校木造校舎を公開する教育資料館が存在し、同資料館に登米小学校の昭和30年代までの資料が一括保管されている。本研究を始める前に、同資料館の所蔵資料目録作成を行い、明治から大正・昭和前半期の学校資料の種類を概括的に把握していたことが、大いに役立った。登米小学校と同規模の資料を有する学校があるのではないかと予想して臨んだところ、規模的には登米小学校がやはりぬきんでていたことがわかったが、内容・種類においてほぼ匹敵すると思われる資料群を複数の小学校で発見することができた。また、中学校においても、新制中学発足以前の戦争期の資料が存在することを確認することができた。これは、戦後、新制中学校発足に際し、小学校に併設されていた青年教育機関(実業補習学校・青年学校)の資料が移管された結果と理解される。戦後設立された中学校に、戦時中までの資料が保管されている事実を発見したことは、重要である。 多賀城市からの依頼により、昭和6年度から昭和22年度までの学校日誌の全文データベース化作業を行ったが、山王小学校の日誌からは、多賀城遺跡の顕彰運動の具体的進展過程、多賀城小学校の日誌からは、多賀城海軍工廠の建設準備過程からの動向に関する良好な資料を得ることができた。地域史叙述に学校資料が有益であることを確認することができた。 また、気仙沼市で行った展覧会により、収集資料の活用法についても、実践的に検討を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、まず、前年度からの継続課題となっている登米市、七ヶ宿町での資料調査を実施する。登米市では、小学校2校・中学校3校の調査が未了であり、七ヶ宿町では、小・中学校各1校の調査が未了である。登米市は、広域合併したため、市内に複数の旧町村が含まれている。学校資料の残存状況には、地域的偏りがあるように推察される。未調査の学校調査を終えた段階で、あらためて、全市内における資料の残存状況を概観し、保存状態の地域差の有無を検討したい。資料の保存状況に教育委員会のかかわりが関係しているのか、あるいは学校ごとの差異なのか、検証したい。宮城県内では、登米市に匹敵する広域合併を実施し、その結果、大規模な学校の統廃合を実施している自治体がある。教育委員会の了解を得て、調査を実施したい。 次に、13年度に収集した資料の分析を、二つの方向から行う。一つは、学校資料の組成・構造を概観することである。どのような資料が学校に残されているのか、学校資料の組成に関する包括的な研究は遅れている。もっとも基本的なこの問題に対し、調査成果をもとに、一定の見通しを提示したい。もう一つは、収集した資料の内容整理である。多賀城市内2校の学校日誌の全文データベース作成により、同一町内でありながら、それぞれ特徴がみられることが明らかになった。これは、学校日誌に地域の特性が反映していることを示すものであり、学校日誌が地域史叙述の基礎的資料となりえることを示すものである。できるだけ多くの学校日誌の全文データベースの作成を目指す。 そして、これら資料をいかに歴史資料として歴史叙述に応用することができるか、また、広く学会で共有できるように公開する方法を検討することも、検討を進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
学内研究費締め切り期日の後、銀行から利息通知が来たため、使用しきれなかった。 2014年度に費消する。
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