研究課題/領域番号 |
25370790
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
土田 宏成 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (00364943)
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研究分担者 |
内藤 一成 東洋大学, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (20624969)
小川原 正道 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (40352637)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本 / 近代 / 現代 / 史料 / 防災 / 災害 / 震災 / 砂防 |
研究概要 |
本研究は、近代・現代の日本で発生した災害に関わる史料の調査・研究を通じて、防災に資することを目的とし、以下のような史料を確認することができた。これらには、すでに知られているものも含まれるが、知られていないもの、または未活用のものが多い。 国立国会図書館憲政資料室に所蔵されている、「憲政資料」(近現代の政治家・軍人・官僚などの私文書)の調査では、次のような史料が確認された。濃尾地震(1891年)、庄内地震(1894年)、明治三陸地震津波(1896年)、関東大震災(1923年)、北伊豆地震(1930年)、その他の風水害に関わるもの、戦後に日本政府がGHQに対して防災のための公共事業の重要性を訴えたものなどである。宮内庁宮内公文書館においては、「視察録」・「重要雑録」に昭和戦前期の災害記録が、「明治天皇御手許書類」に明治期の災害に関する写真・図面・報告書(復命書)が含まれていることがわかった。 整理作業を進めている「三島家文書」(三島通庸や通陽に関わる文書)からは、1910年の関東大水害の状況を伝える絵葉書(被災地の写真が印刷されている)などが確認された。 河井弥八(宮内官僚、貴族院議員、参議院議員・同議長)の昭和20年代の日記における災害地視察の記述を分析することにより、1953年の南紀豪雨の被害状況や、戦後砂防計画立案の背景が明らかになった。 アメリカにおける調査は、米国連邦議会図書館、米国国立公文書館で行った。連邦議会図書館アジア部では、関東大震災時に日本政府や東京市が作成した文書が所蔵されていることが確認できた。国立公文書館では、国務省資料の調査を行い、関東大震災関係資料が「Records of the Department of State Relating to Internal Affairs of Japan, 1910-29, Call No. 10-15-9, Micro-copy No. M-422, Rolls No. 11」という資料群にまとめて収録されていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国立国会図書館憲政資料室に所蔵されている「憲政資料」の調査で、目録によるチェックだけでなく、原資料(またはマイクロフィルム)を閲覧し、内容までチェックすると、予想していた以上に時間がかかることがわかった。そのぶん国立公文書館所蔵史料の調査ができなかった。 宮内庁宮内公文書館においては、新たに公開された史料も調査対象に加えた。
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今後の研究の推進方策 |
史料の内容にも踏み込んだ調査を行うため、時間の関係から調査対象を絞る。複数の史料保存機関を同時に調査する方法を改め、優先順序をつける。まず国立国会図書館憲政資料室に所蔵されている「憲政資料」の調査を優先的に行い、次に国立公文書館の調査を実施する。その他、必要に応じて、防衛省防衛研究所、外務省外交史料館、そして地方における史料調査を実施する。 宮内庁宮内公文書館においては、「視察録」・「重要雑録」に加え、「明治天皇御手許書類」に含まれる災害関係公文書データの集積をめざす。 整理作業を進めている「三島家文書」については、研究期間内に全体像の把握が出来るように整理方法を工夫する。 アメリカにおける調査では、当初の計画通り、東海岸だけでなく、西海岸での調査も進める。 成果を防災に役立てるため、よりわかりやすい内容で、かつ早期に発表できるように努める。そのために新たな史料に関する調査を実施するだけでなく、調査が済んだもの、すでに所在や内容が明らかになっている史料も活用した研究の発表を急ぐ。
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次年度の研究費の使用計画 |
パソコンに入力した史料目録の電子データを印刷製本する予定だったが、よりデータを整えてからにするため延期した。 インターネットを利用した事前の史料調査に時間をかけたため、各史料保存機関への訪問調査を予定していたよりも行わなかった。そのため、旅費・交通費が少額で済んだ。 延期していた史料目録電子データの印刷製本を行う。前年度行わなかった各史料保存機関への訪問調査を行う。
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