研究課題
本研究は、明治維新以降、1960 年代までの時期を対象とした、対馬における朝鮮人の移動と社会形成に関する総合的な研究であり、具体的には、対馬の厳原町・峰町・上対馬町・上県町・豊玉町・美津島町(現在は統合され全島が対馬市)をフィールドとし、①日本政府(内務省・外務省)レベルの対朝鮮・朝鮮人政策の展開、②現地対馬(および長崎)における行政や産業界による対朝鮮、対朝鮮人政策の展開、③移住朝鮮人と対馬の日本社会との生活空間での接触、④移住朝鮮人による、対馬での社会形成や対馬を越えたネットワークの形成、アイデンティティの変化、の4点に着目した研究である。平成27年度は、研究総括の年度であり、研究成果の公開や未確認資料の発掘・調査を目的として、現地の郷土史家と協力をして、市民公開の形でシンポジウムを開催する予定であった。しかし、当該研究に関する先行研究の少なさと、研究総括に向けて、とくに③④に関する資料調査がまだまだ不十分であったことをふまえ、最終年度も夏と冬、二回に分けて最終的な資料調査を行った。具体的には、長崎歴史文化資料館資料閲覧室長崎学コーナーでの史料調査(近代対馬の諸統計などの行政史料)、長崎県立図書館での膨大な郷土新聞(「東洋日の出新聞」「長崎新聞」「九州日の出新聞」「長崎日日新聞」)調査、北九州市立図書館での郷土新聞(「門司新報」「福岡日日新聞」)調査である。その結果、1910年代後半から1930年代初頭にかけて、対馬にどのような形で朝鮮人が流入し、どのような雇用に就き、人口にはどの程度の変動があり、どの地域に多く暮らし、対馬の社会とどのような葛藤が生じたのか、という③④に関わる点について、今まで明らかにされてこなかった知見をおおよそ得ることができた。これまで二年間の研究成果もふまえ、総括していくのに必要な材料をかなり揃えることができた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)
Volume of papers,CHIR(Commissin of History of International Relations),Tokyo Conference 2014,『The Emergence of (Asia-Pacific) in the International Relations---The First World war and Japan』
巻: 第4回 ページ: 73‐83
『早稲田大学史記要』
巻: 47 ページ: 27‐41
『立教学院史研究』
巻: 13 ページ: 85‐101
Sai
巻: 74 ページ: 18-35
『人権と生活』
巻: 41 ページ: 6‐14
『立教』
巻: 234 ページ: 37‐43