研究課題/領域番号 |
25370801
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 駒沢女子大学 |
研究代表者 |
佐々木 俊道 駒沢女子大学, 人文学部, 教授 (90259028)
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研究分担者 |
遠山 元浩 駒沢女子大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60409828)
皆川 義孝 駒沢女子大学, 人文学部, 准教授 (60460119)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 交流史 / 寺院史 / 中世史 / 近世史 / 史料研究 / 時宗 / 清浄光寺 |
研究概要 |
本研究は、時宗総本山清浄光寺より発見された新出中近世史料の調査、整理、公開をおこない、中近世移行期における関東拠点寺院を中心とした人・モノの交流史を解明する為の基礎的な研究である。本研究は、近年多数発見された清浄光寺の中近世移行期の史料群から、関連する既存文書との比較研究を行い、中近世移行期における関東拠点寺院が、どのような形で武家や周辺寺社との関係を持ち、拠点としての地位を確立していったのかを歴史的・仏教史的に把握し、その交流史を紐解き、点としての寺院に人が重なり線となって地域を繋いてゆく基礎を見いだすことを試みる。本年度は当初計画に従い、清浄光寺新出中近世文書及び関連史料の一点ごとの詳細な調査・分析による目録作成、さらに史料の高精細写真撮影を行った。あわせて東京大学史料編纂所所蔵の影写本と照合する作業に着手した。この調査の過程で、遊行寺宝物館より『相州古文書』等にも未収録の新出中近世文書十数点の発見があった。この発見は、本研究の本年度の大きな成果の一つである。この新発見の中世文書は、本研究の充実のためにも早急に詳細な調査分析が必要と考え、平成26年度以降に本格的に詳細な調査に着手することとした。清浄光寺の中近世移行期の史料には、京都・大津周辺にあった時宗道場に関するものが多数含まれる。その理解のために2013年2月11日から2月12日にかけて、大津市の長安寺・三井寺、京都の法国寺跡・鳥返山墓地・錦天満宮・金光寺跡・六波羅蜜寺などの現地調査を行った。その結果、原本史料の調査を介して、清浄光寺所蔵中近世史料の全体像を把握することが可能となり、また京都周辺の現地調査を通じて、中近世史料の具体的な機能に関する情報を得ることがきた。研究成果の一部については、遠山元浩・皆川義孝「時宗総本山清浄光寺所蔵史料について」(『駒沢女子大学研究紀要』第20号、2013年)と題して発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初計画では、平成25年度は清浄光寺新出中近世文書および関連史料の調査、高精細撮影、並行して目録作成とデータ化を主たる活動とした。本年度はその計画に従い清浄光寺新出中近世文書および関連史料の調査、高精細写真撮影、目録作成とデータ化を推進した。関係性が認められた史料は、中世・近世文書を併せて3,627件にもなった。この研究活動の成果の一部については、遠山元浩・皆川義孝「時宗総本山清浄光寺所蔵史料について」(『駒沢女子大学研究紀要』第20号、2013年)を発表した。さらに、調査中に中世文書十数点が新たに発見されたことは、本年度の研究成果の一つである。以上の通り、本年度は清浄光寺新出中近世史料と関連する近隣寺社や研究機関が所蔵する文書群既存史料との比較検証を行う上での基盤整備が、当初計画通りおおむね推進できたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、清浄光寺の交流史に関連する文書から、特に精査が必要と思われる史料の翻刻作業を、分担者の高橋・皆川の指導の下に実施する。なお、この作業の円滑なる推進のため、本年度より東京大学史料編纂所の高橋慎一朗を研究分担者として追加した。 翻刻作業に際し、清浄光寺所蔵中近世文書に関しては、中近世文書の扱いにたけた研究協力者を募り翻刻補助をお願いする。翻刻作業では、その内容を精査しつつ人物を抜き出し、次のステップである目録作成につなげられるように取りまとめる。翻刻と並行して行われるのが、既に公表されている清浄光寺所蔵資料の目録などを使用した情報の抽出と、必要情報を統一した形式でのデータ化である。過去、複数機関が編纂に携わり作成された目録があり、従来の調査研究の基礎資料となっていた。しかし史料名や項目名など整合性がなく比較検証しづらい状況が続いていた。そこで、新出史料を含めて全てのデータを再度精査しつつ、統合された目録を構築していく。本年度も、清浄光寺所蔵中近世文書の比較・検討作業の充実のため、京都の伏見・石清水八幡宮周辺・東京大学史料編纂所などでの出張調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に購入を予定していたデジタルカメラ・レンズ、パソコン・パソコン用ソフトの購入を、当初予定していた機種の販売が終了していたため、購入を延期したため。 平成26年度には、平成25年度に購入を延期したデジタルカメラ・レンズ、パソコン・パソコン用ソフトを購入する。
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