研究課題/領域番号 |
25370805
|
研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
青山 忠正 佛教大学, 歴史学部, 教授 (30159305)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 京都留守居 / 寺田家文書 / 溝口家 / 新発田藩 / 公武関係 / 縁家 / 大政奉還 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、第1に、新発田藩の京都留守居、寺田家文書のうちから、文化10年(1813)より明治12年(1879)に至る『御用留』の翻刻を進め、全26冊のうち、最後の第26冊を除く、ほぼ全冊について、作業を終えた。『御用留』は、京都留守居の業務記録として根幹をなすものであり、その内容を通覧するだけで、寺田家が果たした留守居としての役割の大体をたどることができる。その意味で、『御用留』の翻刻は、それ自体が研究の成果を示すものである。 第2に、上記を踏まえ、研究代表者は、平成28年度における研究の継続的な展開を目指し、寺田家文書のうちから『御用留』以外の、主要な史料を精査して、約300点(冊子及び一紙文書が混在)を選び出し、デジタル撮影の準備を整え、業者に発注した。史料の選定は、研究進展の第1歩であるが、この作業を終えることにより、史料としての取り扱い(寺田家文書は、図書館でも貴重図書指定を受けているため、出納作業だけでも煩瑣な手続きを要するうえ、取扱いにも慎重な注意が求められる)が、格段に容易になった。 第3に、研究協力者の淺井良亮は、以上の作業を経る過程で得られた知見をもとに、論文「京都留守居研究覚書」をまとめ、『佛教大学大学院紀要 文学研究科篇』第44号、2016年3月、に公表した。 第4に、研究代表者は、第2に挙げた史料のうちから関係部分を選び出し、とくに慶応3年(1867)10月、大政奉還後に、江戸家老窪田平兵衛が、溝口家当主の名代として上京し、京都留守居寺田喜三郎と共に、混迷する政局の中で、活動する有様について、分析を進めつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、佛教大学附属図書館が所蔵し、長期間にわたって未整理であった寺田家文書の内容を、史料研究として精査すること自体が、一つの目的であるので、「研究実績の概要」で記したように、『御用留』の翻刻や、またそのほかの史料が、どのような研究に利用できるか、言い換えれば、それらの史料から何がわかるか、に目途をつけることができるようになったことは、進捗状況として、まずは順調な進展である。 但し、それらの内容を読み込み、論文としてまとめることは、短期間でできることではないので、論文としての公表には、まだ若干の時間を要する。あるいは、『御用留』自体を翻刻した書籍として、解題等を附したうえで刊行することは、もとより計画中であるが、これも、具体的な期日を明示することは困難である。
|
今後の研究の推進方策 |
第1に、『御用留』26冊を、書籍にまとめて刊行する。京都留守居の活動状況を全般的に、通覧できる史料は、これまでに活字化されたことがないので、この刊行は、それだけでも、大きな意義を持つと予想される。 第2に、研究代表者としては、慶応3年(1867)~4年という、政治的な激動期における、大名家側の活動を、京都留守居の活動を手掛かりに、大名家側の視点から、明らかにする。このような視点に立った研究も、これまでに存在しないものである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の病気入院(9月)による作業の遅れが最大の理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
寺田家文書のデジタル撮影により、大部分を消費する予定であり、既に業者に発注済みである。
|