本研究は日本植民地下の朝鮮半島を対象とし、当該地域の災害対応・防災の実態を探ることでこの分野における近代日本の「結論」を読み解こうとしたものである。朝鮮半島で頻発した大水害は、長年の山林火災によるはげ山化が主要因であることに気付いた朝鮮総督府官僚たちが、その対策を講じていった。そしてその中で近世朝鮮王朝の抱えていた闇に気付き、その問題の抜本的な解消に尽力していったが、それは大変な道のりであり、これまでの歴史を再構築するに等しい大難題となって彼らにのしかかっていった。それでも彼らがあきらめなかったことが、次なる悲劇をもたらし、そうした連鎖は最終的に日本の満州国支配に至ったのである。
|