研究課題
本研究は、①堅田藩に関する史料を集積し、②未だ不十分な堅田藩について基礎的な研究を行うことを目的とした。①については、藩領があった滋賀や栃木の他、東京や宮城など遠隔地に伝存した史料の調査を行い、必要な資料の写真撮影を行った。②については、代表者、分担者、協力者を中心とした「堅田藩大庄屋文書研究会」を月1回開催し、堅田藩の陣屋があった本堅田村の「留帳」の輪読会を活動の中心に据えた。最終年度には、②の活動の中から、各自の研究分野に即した基礎研究を進めた。「第2回科研費成果報告会」で地方支配機構、課税システム、寺社政策などに関する口頭報告を行った他、村方の訴願に関わる論考を発表した。また「留帳」の輪読会の成果として、昨年度に引き続き「史料紹介」として「留帳」の翻刻を学術雑誌に発表した。なお約170冊残る本堅田村の「留帳」の中には、水損のためページを開けない冊子が含まれている。そのうち17冊の開扉作業を古文書修復業者に依頼した。これにより当該史料を用いた研究を進めることが可能となった。①については、前年度までに主要な文書群の把握を行い、滋賀以外の史料についてはおおむね写真撮影を終えた。最終年度には前年度までの調査の補充を行うとともに、新たに発見した課題に即した史料調査を実施した。3年間の研究の結果、堅田藩に関する史料の集積をほぼ終え、基礎的な研究を行うことが可能な状況を作ることができた。共同研究の成果および科研費メンバーの研究成果を発表することに加え、関係自治体の協力も得つつ、成果の地域への還元も行った。譜代小藩の特性や、非領国地域における藩領の位置付けなど、様々な視角からの分析を行うことにより、今後研究の深化を図っていきたい。
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『甲南大学紀要』文学編
巻: 166 ページ: 7-22
栃木県立文書館研究紀要
巻: 第20号 ページ: 31-57
成安造形大学附属近江学研究所紀要
巻: 第5号 ページ: 18-24