日本の中世・近世寺社内において作成された古記録がどのような経緯や事由でもって成立し、現代にまで伝来するにいたったのか、その歴史的な実態と意義を解明するため、本研究では、京都の八坂神社に所蔵される古文書・古記録の調査を全期間をとおして実施することができた。また、その調査の結果、八坂神社に所蔵される古文書・古記録の全般をほぼ正確に把握することが可能となった。とくに、近世に編纂された「祇園社記」に収められる古文書・古記録の原本の存在を複数確認することができると同時に、「祇園社記」に先行して神社の歴史をまとめようとする動きがあったこともあきらかとなった。
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