研究課題/領域番号 |
25370814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形県立米沢女子短期大学 |
研究代表者 |
薗部 寿樹 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 教授 (10202144)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 結鎮 / 百手 / 百矢 / 宮座 / 名主座 / ジンガ |
研究概要 |
本年度は、①対馬の百矢調査、②奈良の結鎮座調査、③熊本の名主座調査を行った。 ①では、長崎県対馬の比田勝廣義家文書を調査した。比田勝家文書には一四六八(応仁二)年の百矢の信仰を示す古文書がある。百矢とは百本または多数の矢を奉納する神事である。これは西日本の歩射である百手と関連するものと思われる。 ②では、奈良の下田鹿島神社の結鎮座祭祀を見学した。結鎮とは歩射儀礼を表すもっとも古い語彙のひとつである。それを宮座の名称に用いていることは非常に興味深い。現在は、歩射儀礼そのものは廃れて行われていないが、結鎮座は結鎮の意味を考えるうえで重要な宮座である。 ③では、熊本県宇城市小川町海東の馬場家文書を調査した。馬場家文書には、一五八三(天正一一)年の肥後国海東村地見日記写がある。これは、従来、断片的に史料紹介されていたが、翻刻が不正確であり、文書そのものの理解も不十分であった。今回の調査で、これが肥後国八代郡海東郷にある海東阿蘇神社の名主座の存在を示す史料であることが明らかになった。またこの史料から名主座がジンガと呼ばれていたことも判明した。 以上の調査研究の結果について、③に関しては、すでに薗部寿樹「肥後国海東郷における名主座(ジンガ)について」(『米沢史学』29号、2013年10月)に発表済みである。また①の調査の際にみつけた別史料について吉田歓・薗部寿樹「比田勝廣義家文書「天文二一年材木注文」について」として『米沢史学』30号(2014年10月刊行予定)で史料紹介をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査の緊急性・必要性に鑑み、当初予定していた調査地と若干異なる地域を優先して調査研究をおこなった。しかし、4年間の初年度としては、順調に調査研究をすすめられたものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も歩射儀礼と宮座・名主座関連の古文書調査と現地調査を進めていく所存である。 次年度の研究予定は、以下の通りである。 ①鹿児島県の甑島諏訪神社の古文書を撮影し、現地を調査する。 ②宮崎県の奈古八幡神社の古文書を撮影し、現地を調査する。
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