研究の最終年度として、これまで4年間の活動で得た成果を集約しまとめる作業を行うとともに、補助的な現地調査を実施した。国内調査は、鹿児島、福岡、大分、山口、広島、岡山、東京の各地で行った。 本研究活動の成果の一部をまとめる書籍の編集を進め、『描かれたザビエルと戦国日本―西欧画家のアジア認識―』(勉誠出版)とのタイトルの図録兼論文集を編者として2017年1月に刊行した。同書には、ポルトガル、サン・ロケ教会所蔵「ザビエルの生涯」連作油彩画全20点を、所蔵元の協力を得てフルカラーで公開するとともに、日本情報を含む各場面について詳細な解説を施した。また、ポルトガルで出版されている画像解説文の誤解を指摘し修正を行うこともできた。 さらに、「日本中世史の世界史的研究」と題する口頭報告を2017年3月に名古屋学院大学で開かれた合同研究会で実施した。 16世紀における情報の東西交流は、極めて曖昧なもので、異国情報は誤解や誤報、誇張等を伴って相互に交わされるものが少なくない。また、今回の調査においては、周辺情報からその存在が認められる日本関係史料について、現地において確認することができなかったものが複数あった。そうした意味で、諸外国に眠っている過去の日本情報については、いまだ有効な調査・研究手段が確立されているとは言えず、今後も幅広い調査・蒐集を行っていくとともに、調査手法の経験的確立に努めていく必要性を痛感する。
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