研究課題/領域番号 |
25370817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神奈川県立歴史博物館 |
研究代表者 |
桑山 童奈 神奈川県立歴史博物館, その他部局等, その他 (70332393)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 江戸時代地方出版 / 浮世絵風景画 / 神奈川県 / 寺社縁起 |
研究概要 |
江戸時代の現神奈川県域(地方)において出版された絵図の所在とそれらの絵図と江戸(中央)で出版された当該地の風景を題材にした浮世絵版画の比較により、江戸時代の地方における出版状況について明らかにすることを研究の目的とする。 三年計画の初年度にあたる25年度は、江戸時代に現在の神奈川県域にあった寺社や観光地などでお土産品として出版された絵図の所在調査と資料調査を以下の機関で行った。国文学研究資料館、東京都立中央図書館、東京大学総合図書館、慶應義塾大学三田メディアセンター、川崎市立中原図書館、名古屋市蓬左文庫、西尾市岩瀬文庫。調査途上で、絵図よりも寺社縁起の方が数多く出版されたらしいということが判明したので、縁起類も情報収集および調査の対象に加えることとした。観光地の視覚的にあらわす絵図と文字だけで語る縁起はお土産的な出版物とはいえ性格も異なるので、出版地や出版資本などを比較することで県域の出版状況を包括して分析することができ、江戸の出版に対する在地出版の性格をより明らかにできると考える。調査で収集したデータはデータベースソフト、ファイルメーカーproに蓄積した。いずれも一例あたりの残存数が少ないことが調査を困難にしているが、今後も引き続き所在を探して調査した上で県域のなかでの地域性ほかについて分析を行う。 浮世絵版画との比較については、所属の神奈川県立歴史博物館で所蔵する江戸時代の神奈川県域を取り上げた浮世絵のまとまったコレクションについて蓄積してきたデータをもとに、それ以外の浮世絵版画、さらには版本の挿絵の作例について所在を調査してデータを収集する。おもに景観表現について比較および分析を行い、浮世絵版画にはあまり見られない鳥瞰図が地方出版の絵図に多くみられる理由について考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度は絵図と縁起資料の所在調査からはじめ、後半からは実物調査も並行して進行させた。マイクロフィルムで閲覧可能な資料は閲覧、複写の上で実物調査に臨んだところ、効率よく調査することができた。しかし、事前準備に時間をかけたため、実物調査の進行が予定より少し遅れている。26年度は実物調査、特に神奈川県外など遠隔地への調査に重きをおきたい。 浮世絵については25年度に整理した所在調査をもとに、26年度より県内、東京都内の他機関を中心に調査を開始する。 収集した資料データのデータベース化もデータベースソフトを購入し、入力アルバイトを雇用したため順調に行えた。26年度は引き続いて、実物資料の調査、特に遠方への調査を行うと同時に、前年度以上に収集した資料の分析作業の時間を配分する。
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今後の研究の推進方策 |
25年度の研究過程で江戸時代の神奈川県域で出版された寺社の縁起類も調査対象に加えたので、絵図、縁起双方の調査を並行して行う。縁起資料に記された文字を効率よく分析するために賃金、謝金を用いることを検討する。また、神奈川県外など遠方への調査は26年度中におおむね終了できるような計画を立てる。 浮世絵については今年度から、絵図・縁起類と平行しての調査を開始する。 いずれも収集したデータは25年度同様に賃金を使って整理する。
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次年度の研究費の使用計画 |
神奈川県外への調査計画が予定より遅れ、次年度以降に実施することにしたので、旅費および文献複写等(その他)を消費しきれなかった。 26年度の宿泊をともなうような神奈川県外への調査旅費、調査に伴うマイクロフィルムなどの文献複写(その他)に充当する。
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