研究課題/領域番号 |
25370819
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館 |
研究代表者 |
野尻 忠 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 研究員 (10372179)
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研究分担者 |
斎木 涼子 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 研究員 (90530634)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大般若経 / 慈光寺 / 安倍小水麻呂願経 |
研究実績の概要 |
国の重要文化財に指定される慈光寺(埼玉県)所蔵『大般若波羅蜜多経』(平安時代、貞観13年(871)の願文あり)のうち、前年度までに未調査だった10巻の原本調査と写真撮影を、平成27年5月に実施した。152巻すべての調書が出揃ったところで、9月から11月にかけて改めて全巻を開き、国語学の研究者を交えて訓点の調査を実施するとともに、最終報告書の作成に向けて調書の修正をおこなった。修正およびそのための再調査を必要とする巻が多数に及び、予想以上に時間を要している(継続中)。 同経のうち慈光寺以外に現存する僚巻については、埼玉県立歴史と民俗の博物館(5月)、大東急記念文庫(同)、根津美術館(11月)等において調査を実施したほか、これまでに知られていない僚巻の所在調査も継続した。 それ以外の平安時代の『大般若波羅蜜多経』として安楽寿院(京都市)所蔵の仁寿3年(853)発願文を持つ写経を調査し(4月)、また比較検討のため奈良時代の『大般若波羅蜜多経』の一つ「長屋王願経(和銅経)」を調査した(5月)。 そして、平成26年度までの調査と研究の成果は、奈良国立博物館で開催された特別展「まぼろしの久能寺経に出会う 平安古経展」(4月7日~5月17日)に反映され、同展の展示図録に「概論 まぼろしの久能寺経に出会う 平安古経展」を発表した。また、本研究の成果を受けて、「慈光寺伝来の法華経と大般若経について」と題する招待講演を、埼玉県立歴史と民俗の博物館において実施した(11月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
慈光寺所蔵『大般若波羅蜜多経』の調査を一通り完了しすることができた。しかし、これまでに作成した調書の点検と修正に思いのほか時間を要し、当初計画にあげていた報告書の作成を27年度中に完了することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記のとおり27年度中に報告書の完成に至らなかったため、研究期間を1年間延長した。この間に、新たに判明した慈光寺伝来『大般若波羅蜜多経』の僚巻について、さらなる情報収集を実施する。そして年度末までに、これまでの研究成果を掲載した報告書を刊行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の取りまとめにあたり、9世紀の代表的な『大般若波羅蜜多経』である「安倍小水麻呂願経」全152巻の報告書(総合目録)作成に向けて準備を進めていたが、当初予定よりも調書のデータが膨大となり、また調書修正と追加調査が多く発生し、整理に時間を要した。そこで報告書は次年度に作成することとし、そのための予算も次年度に繰り越す。
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次年度使用額の使用計画 |
調査研究報告書の作成費に使用する。
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