本研究の中心に据えた慈光寺(埼玉県)所蔵『大般若波羅蜜多経』については、全152巻を開いて調査し、巻頭・巻末を欠く巻の巻次をすべて特定するなど、全貌を明らかにすることができた。寺外所在の僚巻も、埼玉県立歴史と民俗の博物館、大東急記念文庫、根津美術館などに赴いて調査した。以上の調査・研究成果は、豊富な図版及び書誌情報一覧とともに報告書に掲載し刊行した。 このほか海住山寺(京都府)、長弓寺(奈良県)、安楽寿院(京都市)等が所蔵する平安時代書写の『大般若波羅蜜多経』を調査し、慈光寺本も含めた研究成果は、奈良国立博物館の特別展「まぼろしの久能寺経に出会う 平安古経展」(平成27年)に反映された。
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