研究課題/領域番号 |
25370820
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
山本 崇 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (00359449)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 木簡 / 墨書土器 / 漆紙文書 |
研究概要 |
本申請研究は、平安時代木簡の性格と機能を律令制の変質過程のなかで合理的に説明することを課題としている。 今年度は、全国出土の平安時代木簡の全体像を把握することを主要な課題とし、出土情報の収集、整理を目的とした作業を進めた。具体的な調査対象として、奈良文化財研究所が保管する平安時代木簡のリスト作成を開始するとともに、兵庫県深江北町遺跡・三宅遺跡、静岡県伊場遺跡群・赤土政所遺跡、鳥取県鳥取市内遺跡・青谷横木遺跡、滋賀県能登川石田遺跡、福岡県大宰府跡・井上薬師堂遺跡、熊本県田中城周辺地などから出土した平安時代木簡・墨書土器の熟覧調査と写真撮影をおこなった。 上記の調査・作業を踏まえ、以下の研究成果をまとめた。 a この10年余りの全国の木簡出土情報と調査研究の動向を整理した「近年の木簡調査研究の動向」(『考古学ジャーナル』649号、2013年11月刊)を著した。b 2004年に刊行した前著『全国木簡出土遺跡・報告書綜覧』以後の出土情報の網羅的収集を木簡学会の協力を得て行い、その成果をもとに『全国木簡出土遺跡・報告書綜覧II』(埋蔵文化財ニュース154号、2014年2月刊)を編み、3000を超える研究・調査機関、木簡調査担当者、古代史等研究者に配布した。c 平安時代木簡を含む古代以降の木簡の特徴をまとめ、奈良文化財研究所東京講演会「歴史の証人 木簡を究める」(2013年9月)において「木簡を広げる―古代以外の、さまざまな地域の木簡」と題する講演をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に掲げた『全国木簡出土遺跡・報告書綜覧II』を予定通り刊行したほか、平安時代木簡の全体像を明らかにする作業を鋭意進めることができた。全国出土木簡の調査は予定通り進んでいると評価できる。 木簡の調査にあたりご協力いただいた関係機関・個人への配布分を確保するため、上記刊行物の増刷費用(400冊)を科研費で支出することにしたため、予定していた謝金支出を伴う作業を平成26年度に延期したが、この作業も今年度4月からすでに開始しており、研究期間内に遂行可能と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、全国から出土した木簡等出土文字資料の熟覧調査、撮影による資料収集を継続する。すでに今年4月、三重県、鳥取県、秋田県において出土木簡、墨書土器、漆紙文書などの調査をおこなっているほか、6月には兵庫県豊岡市での調査、秋には、島根県出雲市、静岡県浜松市、熊本県八千代市での調査及び撮影をそれぞれ予定している。これまで通り、全国の調査機関のご理解とご協力により、出土文字資料の高精細画像による資料収集をすすめる。 今年度上半期で予定している平安時代木簡の確認作業を踏まえ、新たに調査・撮影の計画をたてつつ、平安時代出土文字資料の歴史的意義の解明を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
謝金支出を予定していた作業を26年度に実施することとしたため、若干の残額が生じた。 予定していた謝金を伴う作業は、26年4月~7月(予定)に実施するものとし、すでに作業にはいっている。
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