本研究の基礎ないし根幹である明版書の調査については、この四年で約360点の原本閲覧と書誌収集を果たした。本研究開始以前に蓄積されていた書誌は2900部たらずであるから、新たに増加した分を併せれば、利用可能な書誌は3200部を優に超えるものとなる。このうち本研究において特に注力した台湾公蔵善本の調査結果については、解題つきの知見目録として整理しつつあり、その中の最も史料的価値の高い部分はすでに公刊を終えている。またこの公刊された目録の解題は、その多くが個別の版本に即しつつ明代出版史、特に明代中期における出版情況の変化に関する著者の見解を述べたものであって、単なる形態的書誌の記述なのではない。
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